東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチーム(略称:東海大学ソーラーカーチーム)が9月2日に栃木県那須塩原市にある株式会社ブリヂストンの栃木プルービンググラウンド(テストコース)で、このほど完成した単胴型の2017年型「Tokai Challenger」の試走会を行いました。
同チームは今年10月8日(日)から15日(日)にかけて、オーストラリアのダーウィンとアデレード間で開催される世界最大級のソーラーカーレース「2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」(WSC)に参戦。3大会ぶりの世界一奪還を目指しています。マシンはこの大会に向けて学生たちが開発・製作に取り組んできたもので、パナソニック製「HIT®太陽電池」とリチウムイオン電池などを搭載したほか、東レから供給を受けた炭素繊維「トレカT800開繊織プリプレグ」を使用。大会の冠スポンサーであるブリヂストン製のソーラーカー用タイヤ「ECOPIA with ologic」を装着するなど、多数の国内有力企業から協力を得て完成しました。
試走会はブリヂストンの協力を得て実施。完成後の本格的な走行は初めてということから、走行時の安定性やコーナリング性能、ブレーキの利き具合の確認などを目的としています。福田紘大監督(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻准教授)は、「レース本番で現地入りするプロジェクトメンバーのほとんどはWSC未経験者であり、実際の現場で整備を行う際にどのように動けば効率的になるかなど慣れていかなければならない部分も多くあります。学生たちが経験を積む機会としたい」ともう一方の狙いを語ります。
学生たちは現地に到着すると午前中からサスペンションのセッティングやタイヤの取り付け、配線の確認など作業を進めました。午後2時過ぎに整備を終えると、まずは本番でもドライバーを務める佐川耕平助教(工学部電気電子工学科)がステアリングを握り、コーナリングやブレーキングを確認。1周3.9kmのコースを数周周回して性能を確かめました。続いて、特別アドバイザーの池上敦哉さん(スポンサー企業に一つであるKYBモーターサイクルサスペンション勤務)が、サスペンションなどのフィーリングをチェック。その後、学生ドライバーの喜多洸介さん(工学部動力機械工学科3年次生)も試走し、最高時速103㎞を記録するなどしてマシンへの習熟度を高めました。佐川助教は、「新マシンは空気抵抗が少なく、風に煽られにくい。さらに横風を逃がしてくれる作りになっていると感じました。前回参戦時のマシンからの進化を感じています」とコメント。喜多さんは、「初めて高速走行を行いましたが、いろいろと調整すべきところが見つかりました。修正してオーストラリアに持っていきたい。学生ドライバーとしては、前回大会では3位と悔しい思いもしているので、今大会では後悔することがないよう走りたいと思います」と意気込みました。
学生代表の武藤創さん(同2年次生)は、「準備に時間がかかりコースに出るのが遅れるなど、動き方といった部分で学生スタッフに足りないところがたくさん出てしまいました。レースで勝つためにはそういった仕事をしっかりと果たしていかなくてはなりません。チームが一丸となれるよう、ミーティングはもちろん、さまざまな場面で目標に向かって心を一つにしていきたいと思います」と話します。木村英樹総監督(工学部電気電子工学科教授・現代教養センター所長)は、「今回のテストでは風が強かったため、エネルギーマネジメントなどを確認することはできませんでしたが、加速性能の高さや“スピードののり”といったマシンのポテンシャルを感じることができました。ただ、後輪のサスペンションのセッティングなどまだまだ課題があります。3日後の9月5日には空輸に送り出さなければならないため、時間は限られていますが、現地での時間も含めて1カ月でできるだけ良い状態までもっていきたい」と語りました。