2019年10月20日 市内のパレード走行と表彰式に臨みました

1週間にわたって開かれた2019ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(BWSC)が10月20日に最終日を迎え、アデレード市内でのパレード走行と表彰式が行われました。パレードはゴール地点であるヴィクトリア・スクエアから約1km先のヴィクトリア・パークまでの区間で実施されるものです。東海大学ソーラーカーチームは、学生ドライバーの小野田樹晃さん(工学部動力機械工学科3年次生)がステアリングを握りました。午後3時にスタートしたマシンは、パトカーに先導されて走行。大会の順位に沿って、優勝したベルギー「Agoria Solar Team」などに続いて2番手でスタートした小野田さんは、沿道の市民らに手を振りながらゆっくりとマシンを進め、「大会中はあまり周囲に人がいない状況で走るので、パレードでは気分よく走れました。ただ、前にAgoriaのマシンがいたので、ぜひ次回は先頭を走りたい」と語りました。

夕方からアデレード・コンベンションセンターで開かれた表彰式では、全参加チームが一堂に会しました。株式会社ブリヂストン代表執行役CEO兼取締役会長の津谷正明氏らがあいさつしたほか、レースの模様が収められたダイジェスト映像が放映され、その後は特別賞やクルーザークラスの表彰が続き、本大会のメーンクラスであり東海大チームが出場したチャレンジャークラスの上位3チームにトロフィーが授与されました。準優勝の表彰ではチームマネージャーの武藤創さん(工学部動力機械工学科4年次生)をはじめ全メンバーが登壇。武藤さんは「多接合化合物太陽電池に比べて発電効率で劣るシリコン系太陽電池で戦いに挑むのは非常に難しいことでした。しかし、車体の性能を高めることで2番手という結果を残せたことは幸せです」と英語でスピーチしました。

表彰式を終え、板山侑豊さん(大学院工学研究科電気電子工学専攻2年次生)は、「南アフリカでのサソール・ソーラー・チャレンジと合わせて4度目の国際大会となりましたが、経験を生かして周囲を広く見られたのではないかと思っています。後輩たちには生意気なキャラクターもいますが(笑)、メリハリの効いたいいチームです。自分は大学院生なので残された時間は少ないのですが、しっかりとノウハウを引き継いでさらにいいチームになってほしいと願っています」と感慨を語りました。一方、今大会が初の国際大会参加となった高井朗さん(工学部機械工学科2年次生)は、「機械班の一員として大会に参加しましたが、先輩たちの作業を見るばかりで、あまり貢献できませんでした。自分の役割を十分に果たせなかったという面で、準優勝という結果には心から喜べてはいません。技術力を高め、今度は先輩たちに頼らずに上位を勝ち取りたい」と意気込み、1年次生として参加した藤原圭佑さん(工学部電気電子工学科)と岡本陽佑さん(工学部材料工学科)の2人は、「自分たちにできることはまだまだ多くはありませんが、もっと果たせた役割もあったのではないかと思っています。反省を生かして、自分たちが中心になった次のBWSCでは最初にゴールに到達したい」と口をそろえていました。

佐川耕平総監督(工学部電気電子工学科助教)は、「準優勝という結果は、チームが世界に通用する技術をもっていることの証明になったと思います。今大会は強い横風もあり上位チームにスピンやコースアウトなどのトラブルが相次ぎました。次回大会からはレギュレーションの変更も考えられますが、東海大チームとしては今後も安全に配慮した上で、さらに上位を狙えるよう取り組んでいきます」とコメント。福田紘大監督(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻准教授)は、「東海大チームでは2017年型Tokai Challengerから単胴型(モノハル型)の車体を開発し、19年型ではそれをさらに進化させることができました。結果が伴ったことで技術的な進歩を実感しています。また、今大会に向けては、学生たちの作業スピードが早かったこともあり、マシンの完成も例年以上に高まりました。チーム全体の成長にも手応えも感じています。日本に残っていたメンバーも含めて、次につながるよう活動を展開していきたい」と先を見据えました。

木村英樹監督(工学部電気電子工学科教授)は、「世界トップレベルのソーラーカーチームが集まるBWSCでは常に高い緊張感が求められるため、チームメンバーには強いプレッシャーがかかります。大変厳しい環境に置かれますが、このチャレンジを成し遂げた結果、学生には大きな成長が感じられました。今後も優勝を狙える次の車体を開発し、運用できる体制を構築していきたい」と語っています。