大学院総合理工学研究科総合理工学専攻生命理工学コース1年次生の戸田陸斗さん(指導教員=工学部生物工学科・笹川昇教授)が、11月14日と15日に栃木県宇都宮市で開催された「第24回日本ミトコンドリア学会年会」に参加。「The effect of mitophagy on muscle atrophy of soleus mainly-composed of slow-twitch fibers with complex II electron transport defects-overproduced ROS」(ミトコンドリア電子伝達異常によるROS過剰産生が引き起こす遅筋萎縮とマイトファジー)をテーマに研究成果を報告し、口頭発表部門のプレゼンテーションアワードを受賞しました。
この研究は、ミトコンドリアが細胞のエネルギーを作り出す過程で産生する活性酸素が、サルコペニア(加齢性筋萎縮)を引き起こすメカニズムについて明らかにしたものです。戸田さんらはモデルマウスを使った実験で、活性酸素によって傷害を受けたタンパク質の蓄積がミトコンドリアの品質管理機能を担うマイトファジーの働きを破綻させ、筋線維の組織変性を促進させている可能性を見いだしました。

戸田さんは、工学部生命化学科(現・生物工学科)での卒業研究テーマに「筋肉」を選定。分子代謝学を専門とする健康学部健康マネジメント学科の安田佳代准教授の研究室に所属し、同学科・宮沢正樹准教授らの指導で研究に励みました。2023年度に大学院工学研究科応用理化学専攻に進学し、翌24年度から、安田准教授の共同研究者である医学部医学科の石井恭正准教授(基礎医学系分子生命科学領域)の下で、ミトコンドリアによる活性酸素と筋肉老化に関する研究を本格的に開始。25年度には総合理工学研究科に進み、本学が展開する博士人材育成プログラム「Tokai-SPRING SACRA※」の支援を受けて研究に取り組んでいます。
戸田さんは、「研究を評価していただき光栄に思います。指導してくださった先生方に感謝します。学部外の先生の指導の下で卒業研究ができる制度や『Tokai-SPRING SACRA』など、希望する研究に思い切り打ち込める環境を整えてくださっていることを、大変ありがたく思っています。研究をさらに進展させ、サルコペニアの予防・改善につなげたい」と意欲を話します。
石井准教授は、「本研究により、サルコペニアの進行抑制や筋質保持を可能にする薬剤や栄養成分の候補となる物質を絞り込む可能性が開けました。ぜひ発展させてほしい」と語り、宮沢准教授は、「私が学生時代に石井准教授とともに確立に携わったモデルマウスで成果を上げていることを、とても感慨深く感じています。今後の成長に期待しています」とコメント。安田准教授は、「“ここぞ”というときの集中力が素晴らしい。受賞を励みに、さらなる飛躍を願っています」と話し、笹川教授は、「好奇心と探究心を持って主体的に取り組んだ成果が評価されたことを、大変うれしく思います。今後もその姿勢を持ち続けて研究に挑み、人々の健康に貢献してほしい」と期待を語っています。
※「東海大学のスケールメリットと総合力を活かした基礎支援と特色ある人財育成プログラム」(略称=Tokai-SPRING SACRA)として、国立研究開発法人科学技術振興機構の令和7年度「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」の採択を受けて実施している事業。大学院生1人に対し、1年間で生活費相当額240万円、研究費42万円を支給し、研究とキャリア形成に専念できる環境の提供やURA教員によるサポートといった、全学的な支援を展開しています。