デンマーク工科大学とのジョイントシンポジウム「エネルギーと環境 ~持続可能な社会の実現に向けて~」を開催しました

持続可能な社会の実現に向けて、様々な取り組みが必要となる中、「再生可能エネルギー」をテーマに、東海大学では11月21日に湘南キャンパスとデンマーク工科大学(DTU)との合同によるシンポジウム「エネルギーと環境 ~持続可能な社会の実現に向けて~」が開催されました。本学とDTUはこれまでも、持続可能な社会の実現を目指して風力発電や水素エネルギーなどの再生可能エネルギーに関する合同セミナーを開催しており、今回はその6回目に当たります。当日は、湘南キャンパスとDTUの会場とをインターネット回線でつなぎ、また講演者を相互に招きながらの同時開催という形としました。特別講演者として、デンマークからは、ポール・エリック・モートホーストDTU教授が来日、また本学からは、工学部の木村英樹教授(工学部電気電子工学科)がDTUを訪問、インターネットを通じた両会場での講演となりました。本学の会場では、学生、一般、教職員の参加、またDTUの会場には、在デンマークの各国大使館(ネパール、イラン、ルーマニア、韓国、日本他)関係者や教職員学生等、併せて100名を超える参加があり、興味関心の強さが形となって現れるものとなりました。

ポール・エリック・モートホースト教授からは、「未来エネルギーシステムへの挑戦・課題と可能性」と題し、デンマークをはじめヨーロッパ各国で研究が進んでいる、再生可能エネルギーの導入状況が紹介されました。また、葛生和夫教授(工学部動力機械工学科)が、「熱音響エンジンによる熱利用」と題して、シンプルでメンテナンスのいらないデバイスを用い、温度差を利用してエネルギーを生み出す熱音響エンジンの仕組みや最新の研究動向を紹介しました。続いてDTU会場から木村英樹教授(工学部電気電子工学科)が「ソーラーヴィークルの未来」と題して講演。世界大会で常にトップレベルの結果を残しているチャレンジセンター・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチームの活躍やマシン開発を通じて進めている企業との共同研究について語り、最後に、DTU教授のヴィンセンゾ・エスポシト氏が、「エネルギー分野におけるイオン電導セラミクスの新たな可能性」と題し、センサーや燃料電池に応用できる最新の新素材として知られているイオン電導セラミクスについての研究成果を紹介しました。

なお湘南キャンパスでは、ジョイントシンポジウムに先立って本学教員によるセミナーを開催。二ノ宮リムさち准教授(現代教養センター)が持続可能な社会実現を担う人材育成について講演したほか、梶田佳孝教授(工学部土木工学科)が日本のまちづくりにおける再生可能エネルギー導入の課題や将来像を講演。稲森真美子准教授(工学部電気電子工学科)が、電線に頼らず離れた地点に電力を搬送する「無線電力伝送システム」について講演しました。

またDTU側ではシンポジウム終了後にセミナーを開催。内田ヘルムート貴大講師(工学部精密工学科)が、次世代のエネルギーとして世界的に注目されている水素利用技術について講演。また、DTU教授のマリー・ムンスター氏が、バイオマスからエネルギーを取り出す技術について講演しました。

DTUとの交流に長年携わってきた大学運営本部の内田晴久本部長(教養学部自然環境学科教授)は、「これまでの合同セミナーと同様、デンマークのエネルギー政策や研究の動向を学ぶことができました。デンマークは人口が500万人と、日本と比較して少なく、また新技術の導入に極めて積極的であるなど日本とは異なる面もあり、そうした現状を知る上でも重要な機会だと考えています。大学のグローバル化をさらに進めるため、今後も研究者同士の情報交換の機会を積極的に設けるとともに、将来的には大学院生や研究者の相互派遣などにもつなげるなど、両国の結びつきを深める活動を展開していきたい」と話しています。

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