東海大学では6月17日から7月18日まで、サウジアラビアの学生を対象にした研修プログラム「Hands-on Training Program for Electric Car Project」を実施しました。電気自動車を中心とする幅広い知識を学び、エンジニアに必要なスキルを実践的に身につける機会として、サウジアラビア王国のMiSK財団と連携して実施したものです。MiSK財団は同国のムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、同国の将来を担う「イノベーションと創造性」を持った若者を育てようと2011年に設立した団体で、本学がこれまで同国と学術・教育の幅広い分野で連携した実績を持つこと、同財団の子会社であるマンガプロダクションズCEOのイサム・ブカーリ氏が本学国際教育センターの客員教授を務めていることなどから昨年度に初めて本学での研修プログラムを実施しました。
今年度はサウジアラビア国内8大学、アメリカ6大学、イギリス1大学から、電気工学や機械工学、コンピュータエンジニアリングなどを学ぶ23名が参加しました。学生たちは最初に、電気自動車の開発に必要となる材料科学や空力、省エネルギー技術の集大成である電気自動車とソーラーカーの基礎、駆動系を担うモーターに関する講義などを受講。その後、今回のプログラムに協力する株式会社東京アールアンドデーの若松竜太氏や、本学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチームを指導する工学部電気電子工学科の木村英樹教授、佐川耕平助教らと電気自動車を組み立てる実習に臨みました。
実習では学生たちが3グループに分かれて1台ずつの車を製作。グループでの役割分担や進行管理に苦労しながら取り組み、何度も意見をぶつけ合いながら約3日で車を完成させました。7月12日と17日には湘南キャンパスと平塚市内のサーキット場でそれぞれ試走も実施。最終日の18日にはファイナルプレゼンテーションで約1カ月間の成果を発表し、修了式では国際教育センターの山本佳男所長が一人ひとりに修了証を贈ると、学生たちは満面の笑みを見せていました。
ムハンマド・アルフリディさん(モーガン州立大学)は、「電気自動車はサウジアラビア政府が今後力を入れていく重要分野の一つで、私の専門分野でもあるため、その全体像をより深く知りたいと思い参加しました。材料など幅広い分野の知識を得られただけでなく、エンジニアに欠かせない、チームワークの進め方、個性を生かしながらプロジェクトを進める方法なども実践を通じて身に付けることができたと感じています。今回の経験は、将来私が母国の産業発展に貢献する上で、間違いなく生きる財産になったと思います」とコメント。アシム・マスマリさん(ジーザン大学)は、「未来型の技術である電気自動車について学ぶことは、将来のキャリアにも大いに生かせると思い参加しました。研修を通して、自動車の組み立てやメンテナンスの基本的な技術を学んだだけでなく、製品設計の段階でそうした点にも配慮することの重要性に気がつくこともできました。また日本での生活を通して、日本人の考え方や文化に触れられたことも大きな成果となりました」と話しています。