デザイン学課程の学生が政府の会議での取り組みを稲田大臣に報告しました

デザイン学課程の学生が政府の会議での取り組みを稲田大臣に報告しました

教養学部芸術学科デザイン学課程の富田誠講師と学生6名が8月22日、早稲田大学の学生2名とともに稲田朋美内閣府特命担当大臣らを訪問。内閣府主催の有識者会議である「国・行政のあり方に関する懇談会」で約半年にわたって取り組んできたグラフィックレコーディングの成果を報告しました。グラフィックレコーディングとは、アメリカで始まった議論の流れをリアルタイムで視覚化する議事録のことです。議論促進の手法として注目されており、今回初めて政府の会議で取り入れられました。将来の持続可能な社会像・国家像や、その中での国や行政のあり方を検討する同懇談会は、開かれた会議を目指し、インターネット上で生中継するなど多様な試みをしています。グラフィックレコーディングもその一環で、情報デザインを専門とする富田講師が依頼を受け、学生とともに参加しました。

実施に際しては、早稲田大学でジャーナリズムを学ぶ学生2名と、本学でデザインを学ぶ学生が協力して研究グループを結成。事前に勉強会を開いてアイデアを出し合い、早大生が「言語化」を、本学学生が「デザイン化」を担当しました。懇談会は十数回行われ、学生たちは事前にリハーサルを行い、終わってからは議事録をまとめて改善点を話し合うなどしてよりよい視覚化を提案・実践してきました。参加者がタブレット端末「iPad」を使って議論を進める「アイデアマッピング」や、議論の内容をリアルタイムに視覚化して参加者に見せる「イシューマッピング」、議論の要点を整理して視覚化する「インフォグラフィック」などの技術を用いて、会議の進行をサポートしてきました。また、平面だけでは議論の内容を表せないことから、懇談会の提案を受けて、高畠梓さん(芸術学研究科造形芸術専攻2年次生)と留学生のグスタボ・ミゾグチさん(同)が視覚化するための球体を制作。懇談会の最終回では、3つの軸を描いた巨大な球体に、参加者が議論の内容を書き込みながら意見を整理しました。懇談会を終えてから、学生が見やすいコンパクトな球体に作り直しました。従来の文字ばかりの報告書とは違う、触れる「インフォグラフィック」は、稲田大臣が懇談会の内容を関係各所に報告する際にも使用されています。

メンバーの一人、永井結子さん(2年次生)は、「デザインを生かした取り組みに興味があったので、富田先生から今回の話を聞いてすぐに参加を決めました。参加者全員にiPadを配り、手元の議事録をリアルタイムに更新していくことで、一人ひとりが内容を把握しやすく、発言(書き込み)も増えた印象があります。私自身はまだ2年次生なので、これからさらにデザインやグラフィックレコーディングについての学びを深め、またこういった取り組みにも参加したい」と話しました。富田講師は、「このような取り組みは、政府の会議として初めてだったそうです。稲田大臣から学生たちに、ねぎらいやお褒めの言葉をたくさんいただきました。学生にとってもいい学びの機会になったと思います」と語っています。

デザイン学課程の学生が政府の会議での取り組みを稲田大臣に報告しました