東海大学ヨーロッパ学術センターがオンラインシンポジウム「身体化されたスピリチュアリティ ~現代世界における瞑想実践~」を開催

東海大学ヨーロッパ学術センターでは9月23日に、文明研究所と合同でオンラインシンポジウム「身体化されたスピリチュアリティ ~現代世界における瞑想実践~」を開催しました。瞑想はかつて、東アジアの文化 (特に仏教) に根ざした宗教的実践と見なされていましたが、現代社会では健康と幸福を追求する一般的な方法の一つとして知られています。今回のシンポジウムでは、多くの人が瞑想を実践する動機をはじめ、人々が伝統的な宗教の代わりにもとめるスピリチュアルな経験、瞑想で実際に経験されることなどについて、デンマークの本センターと、東海大学湘南校舎とウイーン大学をオンラインでつないで3名の研究者による研究成果の発表を通じて語り合いました。

約35名が聴講する中、本センターのヤコブ・スキュット・イエンセン副所長が司会進行を務めたシンポジウムでは、まず文明研究所の田中彰吾所長(文化社会学部教授)が「On the Spiritual Dimension of Embodied Experience」と題して講演。哲学や心理学が専門の田中所長は、好調時のスポーツ選手がいわゆる「ゾーン」に入る経験や、「ランナーズハイ」と呼ばれる状態、合唱団で歌う際の精神状態を例に挙げ、「現代社会の人々が精神性と関連するための社会的文脈があり、私たちが伝統的な宗教的信念の外にいたとしても、私たちは世界との一体性を体験する強力な精神的経験を持っている可能性があります。瞑想状態に入るようなスピリチュアルな経験は、意識状態の変化と身体的感受性の変化によって媒介されると考えられ、私たちの身体的経験には本質的に精神的な側面が含まれています」と語りました。

続いて教育学者でウイーン大学のDenis Francesconi(デニス・フランチェスコーニ)客員教授が「The Scientification of Meditation」をテーマに、東海大学大学院文学研究科博士課程後期で生理学や心理学、哲学、人類学の研究に取り組むJihe Hsieh(ジへ・シェ)氏が「Breathing Techniques and Holistic Health」をテーマにそれぞれの研究成果について紹介しました。最後に、イエンセン副所長の進行で参加者から寄せられた質問に登壇者が回答。閉会に当たって田中所長が「それぞれ興味深い発表でした。これからも未来に向けて議論を続けていきたい」とまとめました。