2018年度テニュアトラック教員着任セミナーを開催しました

2018年12月11日

東海大学創造科学技術研究機構では12月3日に高輪キャンパスで、2018年度テニュアトラック教員着任セミナーを開催しました。本学では2010年度に文部科学省科学技術振興調整費によるテニュアトラック制度(※)を基本とする若手研究者育成プログラムをもとに、16年度からは卓越研究員事業に採択を受けており、本機構に所属する教員としてテニュアトラック教員を採用、育成しています。今回のセミナーは、新規に着任した卓越研究員の研究について周知を図ることを目的としたもので、11月1日より同キャンパスで研究をスタートした倉重宏樹特任講師が「知識獲得の認知・脳情報科学とその先」と題して講演しました。

学生や教職員ら約30名が参加した当日は、まず本機構の木村穣副機構長(医学部教授)があいさつし、「テニュアトラック教員は最大5年間の採用期間となりますが、倉重先生が研究に専念し、成果を残してくれるものと期待しています。本日発表される内容が今後どのようにこれが発展していくか興味を持って見守っていきたい」と語りました。

続いて登壇した倉重講師は、神経科学や脳科学、情報学が専門。名古屋大学工学部科学・生物工学科を卒業後、神戸大学大学院自然科学研究科(修士)を経て、玉川大学大学院工学研究科生産開発工学専攻(博士)で学位を取得し、その後、理科学研究所をはじめ、国際電気通信基礎技術研究所、慶應義塾大学先導研究センター、東京大学大学院新領域創成科学研究科、電気通信大学大学院情報理工学研究科で研究に取り組んできました。講演では、自身の経歴を紹介するとともに、ヒトが知識を獲得する際の選択の在り方や脳の活動について、「我々人間における知識獲得とは、どのような情報でも無分別に受け入れる受動的な過程ではありません。自らが得るべき情報を世界から能動的に選択しています。人間はこのようにして得た知識に基づいて自らの世界観をつくり、それに基づいて行動することで世界をつくっているのです。したがって知識獲得における選択性がいかなるものかを明らかにすることは、我々がそのループに従って自身と世界をどのようにしようとしているのかを理解することにつながります」と研究の狙いを語りました。

続いて神経科学や心理学の研究例からこの分野の研究の状況について触れるとともに、自身がこれまで行ってきた実験について解説。さらに「今後は知識獲得を支配する目的因子の網羅的同定やそれら目的因子の価値観による基礎づけの検証などに取り組んでいきたいと考えています。また、自律的な知識生成における神経メカニズムや社会集団における知識獲得の解明にも取り組みたい。科学史や数学史、哲学史を専門とする研究者と連携した研究にも取り組めれば」と展望を話しました。

最後に高輪キャンパスにある情報通信学部の濱本和彦学部長が閉式の辞を述べ、「倉重先生には、高輪を拠点に充実した研究に取り組まれることを期待しています。学生の皆さんも積極的に話しかけてもらい、会話から刺激を受けてもらいたい」と呼びかけました。

※テニュアトラック制度
「公正で透明性の高い選考により採択された若手研究者が、審査を経てより安定的な職を得る前に、任期付きの雇用形態で自立した研究者としての経験を積むことができる仕組み(文部科学省資料より抜粋)」を指します。本学では、文部科学省が公募した平成22年度科学技術振興調整費(現・科学技術人材育成費補助金)「若手研究者の自立的研究環境整備促進」プログラムの採択(5年間)を受けた提案「国際的研究者を育て得るメンター研究者育成」にもとづいて本制度を導入。実施組織として創造科学技術研究機構を立ち上げて国際的若手人材の育成を推進しています。

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