児童教育学部児童教育学科では3月2日から12日まで、デンマークでウィンターセッション科目「海外教育体験B」を初めて実施しました。本学科では、海外諸国の幼稚園、小学校など教育機関への訪問を通して保育・教育について学び、学生にグローバルな視点で自らの考えをもってもらうことを目的に、夏季にタイで「海外教育体験A」、冬季にデンマークで「海外教育体験B」を開講しています。今回の期間中は、デンマークにあるヨーロッパ学術センターを拠点に各地を訪問し、3年次生(=当時)12名が参加しました。

12月と1月には湘南キャンパスで事前指導を実施。学生たちは4つのグループに分かれて、訪問先の学校で子どもたちと日本の伝統的な遊びで交流する企画内容を考案。日本の教育・保育システムにおける課題についてもディスカッションしました。さらに、オンラインで同センターのヤコブ・スキュット・イエンセン事務長が講義し、デンマークの文化や社会、教育についての理解も深めました。現地では、保育園や幼稚園、生まれつき高い知能や才能をもつ「ギフテッド」の子どもたちが通う小学校など、さまざまな施設を訪問。校長や教員から学校の理念や運営方法などの説明を受け、授業を見学しました。また、アブサロン大学やグルントヴィ・フォルケホイスコーレの学生とも交流。アブサロン大学では実際に行われている「英語教育」に関する講義に参加し、デンマークの教員養成制度についても学びました。
4月3日には湘南キャンパスで事後指導を実施し、現地で得た気づきや日本とデンマークでの教育方針の違いといった知見を共有。学生たちは、「小学校教員は就業時間内に授業準備をしなければいけないと聞き、日本との働き方の違いを感じた」「デンマークでは、人生や日々の生活での一人ひとりの選択を尊重する文化が教育方針にも根付いていた。日本は集団教育の傾向があるため、デンマークで育った子どもが日本で暮らす場合にギャップを感じるのではないか。もし教員になった際にそういった子どもに出会ったら、どのように対応するか考える必要がある」と意見を交換しました。本科目代表教員の臧俐准教授は、「学生たちはたくさんの問題意識をもっていました。将来教育者として働くためにも、自分なりの教育方針を構築するきっかけになったと思います」と語りました。


現地に同行した前田晶子教授は、「昨夏のタイでの研修では、子どもたちとの交流に多くの時間を取りましたが、今回は学生の知識を深めてもらおうと各地の見学をメーンにスケジュールを組みました。将来海外で働きたいという学生も多いので、今回の学びをゼミでの研究や卒業論文につなげてほしい」と話し、木戸啓絵講師は、「デンマーク社会の成り立ちや文化を学んでから現地を訪れたので、歴史と教育の深い関係性も感じてもらえたのではないでしょうか」と話しています。


