大学院工学研究科応用理化学専攻2年次生の除村典子さん(指導教員=マイクロ・ナノ研究開発センター/工学部応用化学科:岡村陽介教授)が、7月6日から10日まで福岡県北九州市の北九州国際会議場 & AIM(アジア太平洋インポートマート)で開催されたThe 19th Pacific Polymer Conference (PPC19=第19回太平洋高分子会議、主催:環太平洋高分子連盟・高分子学会)で優秀ポスター賞を受賞しました。この会議は1989年以降、各国で隔年開催されている高分子領域における世界最大規模の国際会議です。

除村さんは昨年9月に開催された「コロイドおよび界面化学討論会」でも優秀ポスター賞を受賞しており、今回はそれに続く快挙です。今回の発表テーマである「ポリマー微粒子をテンプレートとして用いたメソポーラスシリカディスクの作製と香料の吸着・放出挙動の制御」は、昨年の発表時の研究をさらに深化させたもので、「前回の発表では、肌に塗布するフレグランスなどの芳香成分を持続させることを目的に、シリカ(二酸化ケイ素)を用いて多孔質材料であるメソポーラスシリカの“器”の創製を目指したものでした。今回は、さらにその“器”が実際に芳香成分の吸着と放出を制御して芳香を持続させることができるのか、実証を試みた成果です」と解説します。「芳香成分の放出挙動をどのように評価するのかが難問でしたが、ガスクロマトグラフィーではなく、過去にさまざまな論文や文献で調べて“いつか使えるかもしれない”と暖めていた重量変化率測定に発想を切り替えました。シリカを含むものとそうでないものとを時間経過と重量変化率で評価した結果、シリカの有効性を分かりやすく示すことができました」と成果を話します。
「英語での発表や質疑応答は初めてでしたが、岡村先生や研究室の先輩たちを相手に何度も練習したおかげで研究成果をきちんと伝えることができたと感謝しています。発表後は分野が同じ研究者からアドバイスをいただき、異なる専門分野の人との会話からも刺激を受けました。興味の幅を拡げながら研究に取り組み、卒業までにもう一度国際会議で発表する予定なので、さらに多くの人に理解してもらいたいと思います」と話しています。