国際理解講座「アフリカとどう向き合うか―ファッションと音楽とキャリア形成」を開催しました

国際学部では12月13日に品川キャンパスで、国際理解講座「アフリカとどう向き合うか―ファッションと音楽とキャリア形成」を開催しました。当日は、菅生零王氏(株式会社ステージバンク代表取締役)とアオキシゲユキ氏(アフリカ音楽キュレーター)を講師に招き、学生ら約70名が聴講しました。冒頭で荒木圭子学部長が、今年の8月に横浜市で開催された国際会議「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」の連携イベントとして実施された「Young Africa Connect 2025 アフリカへの理解が深まる1日」で、菅生氏、アオキ氏と共に運営を担った経緯などを紹介。「リアルなアフリカと関わりながらキャリア形成し、大活躍を続けているお2人の話を聞ける貴重な機会です。ユース世代の皆さんはこれからアフリカと無関係ではいられません。自分がどのように関わっていくのかを考えながら参加してください」と話しました。

最初に菅生氏が登壇し、モロッコ、タンザニア、南アフリカ、チュニジアなどの美しい景観や発展した都市の写真を示しながら、アフリカの多様性について解説。大学生時代に「Tokyo Africa Collection」というファッションショーを立ち上げ、「若者のマス層に向けてアフリカのイメージ変革に取り組んだ困難な経験が精神力を強くし、社会人になってからのキャリア形成に役立ちました」と話しました。現在、取り組んでいる日本アフリカエンタメ事業協議会の活動について説明し、「音楽や映画、アニメなどアフリカのエンタメ市場が急成長して欧米企業が積極的に進出しているのに対し、日本企業は乗り遅れています。学生時代に仲間をつくり、一緒に何かに挑戦することは大きな意味がある。興味がある人はぜひ一緒にやりましょう」と呼びかけました。

アオキ氏は講演の冒頭で、「世界はやがて欧米中心ではなくなります」と発言。世界の人口動態や経済予測を示しながら、2100年には世界人口100億人のうち40億人がアフリカ人になるとする推計や、アフリカ諸国がGDPランキングで上位に入るとの予測を紹介。アフリカのアーティストたちがグローバル市場で活躍する様子を描写し、「アフリカは“遅れた大陸”ではなく、急速に成長している地域です。アフリカの音楽やファッションが世界的に注目されているにもかかわらず、日本ではまだあまり浸透していません」と強調。“才能資本主義”という言葉を掲げて、「個人の才能は、自分がどう生きたいかを明確にし、止まらないほど熱中できることを見つけ、それを誰かの役に立つ形で活かすことで発揮されます」と語りました。

その後、菅生氏とアオキ氏に加え、本学から加茂蓮太さん(経営学部1年次生)と小野慈和さん(国際学部3年次生)、付属高輪台高3年の伊藤菜穂さん、東京都・啓明学園高校と神奈川県・湘南学園高校の生徒らも加わり、「ユースとの座談会・質疑応答」を実施。両氏の講演を聴いて変化したそれぞれのアフリカ観などについて語り合いました。加茂さんは、「一方的に“支援したい”と考えるのではなく、相手の文化や背景を理解する姿勢が大切だと感じました」とコメント。小野さんは、「アフリカは貧困というステレオタイプの見方を改め、多様性のあるフェアなパートナーという意識を持ちたい」と話しました。伊藤さんは、「アフリカに対してこれまで紛争が多い地域といったネガティブなイメージがありましたが、今日をきっかけにポジティブな見方をしていきたいと思います」と話しました。会場からはアフリカ音楽のリズムや、就職活動と自分のやりたいこととのバランスの考え方などさまざまな質問があり、壇上の菅生氏やアオキ氏と対話が進みました。

最後に荒木学部長が、「日本とアフリカ諸国との関わり方について考えるために、講演や対話といった言語化の作業が重要だとあらためて感じました。今後もさまざまな仕掛けを考えていきたいと思います」と締めくくりました。