県立横浜氷取沢高校の皆さんが湘南キャンパスを訪問しました

2025年12月2日(火)、県立横浜氷取沢高校1年生の皆さんが湘南キャンパスを見学に来られました。文学部文明学科では、李賢京(イ・ヒョンギョン)先生による模擬授業「物語と境界―『私たち』と『よそ者』を分ける学説」を実施しました。本ニュースでは、その授業内容を簡単にご紹介します。

私たちは日常の中で、自然と「私たち」と「よそ者」を分けて考えることがあります。同じ学校、同じ集団、同じ文化…。そこには、目に見える国境や壁だけでなく、「普通」「当たり前」といった目に見えない境界も存在しています。

李先生の模擬授業では、言葉や物語が境界線をつくり、誰かを「よそ者」にしてしまうことがあるという点を、身近な物語の例を使って説明しました。
・バベルの塔:言語・文化の違いが人々を分ける仕組みを描いた物語
・善きサマリア人:民族の境界を越えて助け合う姿を示すたとえ
・『聲の形』:コミュニケーションの違いが「よそ者」を生むことを描く
・『進撃の巨人』:視点が変わると「私たち」と「よそ者」が入れ替わる物語
これらの物語を通して、境界は固定されたものではなく、言葉や視点によって変化することが紹介されました。

次に、多様性から見る言説について紹介されました。近年よく耳にする「多様性(ダイバーシティ)」という言葉も、一見すると境界をなくすように見えますが、強く掲げすぎると「多様性を認めない人」が逆に「よそ者」とされる場合があります。つまり、あらゆる個性が尊重されるフラットで理想的の概念が、別の境界を生み出すこともあるという重要な視点が示されました。

授業の最後には、以下のようなメッセージが伝えられました。
・今いる場所の「普通」は本当に普通か? と立ち止まって考えてみる
・「私たち」ではなく、「私は」と主語を変えてみる
・境界はときに誰かを傷つけるが、言葉や行動で越えることができる
・あなたは今日から、どんな言葉で世界を語りますか?
以上の問いかけは、生徒の皆さんにも深い印象を与えたようです。

最後に、李先生から進路を考える高校生の皆さんへ次の言葉が贈られました。
大学の学問は、皆さんが抱く疑問を深め、その答えを探すための道具になります。
文明学科では、新しい発見と新しい視点が得られます。
ぜひ進路選択の参考にしてください。

李賢京(イ・ヒョンギョン)准教授

担当:宗教学概論、社会学概論ほか
研究テーマ:宗教社会学。人々の移動と宗教/宗教者の役割について関心を持ち、フィールドワークを通して研究を進めている。

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