海洋生物学科の藤岡紘准教授の研究グループが、「クロマグロ若魚期の高い産熱能力が体温形成初期に寄与すること」を初めて明らかにしました。
クロマグロは周囲の水温より体温を高く保つ「内温性」を持つ魚ですが、その発達過程は十分に解明されていません。本研究では、幼魚期のクロマグロにおける産熱能力の発達と内温性への寄与を調べました。小型の記録計を用いたフィールド調査や室内での代謝計測実験を通じて、体重約700gまでは高い産熱量を維持し、その後減少することを確認しました。また、16~28cmの幼魚期には代謝・循環器官の急速な発達がみられ、この時期の高い産熱能力が体温保持に大きく貢献していることが示されました。今後は、他のマグロ類の体温形成過程と比較することで、マグロ類の内温性の進化の解明につながることが期待されます。
本研究成果は、国際科学雑誌「Frontiers in Physiology」に掲載されました。
T.K. Abe., M. Fuke, K. Fujioka., T. Noda., H. Irino., Y. Kitadani., H. Fukuda., M.B.S. Svendsen, J.F. Steffensen., T. Kitagawa (2025) Juvenile-specific high heat production contributes to the initial step of endothermic development in Pacific bluefin tuna.


