医学部医学科の原田助教らによる急性骨髄性白血病CAR-T細胞療法に関する研究成果が『Journal of Hematology & Oncology』に掲載されました

医学部医学科内科学系血液・腫瘍内科学領域の原田介斗助教らの研究グループが、急性骨髄性白血病(AML)に対するCAR-T細胞療法(キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞療法)の持続性と有効性を高める新たな方法を発見。その成果をまとめた論文が11月12日に、医学雑誌『Journal of Hematology & Oncology』オンライン版に掲載されました。

CAR-T細胞療法は、患者自身のT細胞の遺伝子を取り出して改変し、がん細胞に対する攻撃力を高めて体内に戻す細胞免疫療法です。既存の化学療法では効果が期待できない悪性リンパ腫の治療に用いられています。血液がんの一種であるAMLにおいても活用が模索されていますが、白血病の元となる白血病幹細胞と正常な造血幹細胞の特徴が類似しているため、CAR-T細胞が正常な造血幹細胞も攻撃してしまうという課題がありました。

研究グループは、正常な細胞には発現せず、AML細胞や白血病幹細胞だけに発現する「IL-1RAP」(インターロイキン1受容体付属タンパク質)に注目。この物質を標的とするCAR-T細胞をAMLモデルマウスに移植すると、マウスの生存期間が延長することを確認しました。さらに、IL-1RAP を標的とするCAR-T細胞に「マイクロRNA-142」(タンパク質合成に作用する分子)の機能を再現する人工RNAを補充することで、AMLに対する抗白血病活性が高まることも明らかにしました。原田助教は、「AMLに対するCAR-T細胞療法についてはさまざまな研究が行われていますが、実現には至っていません。今回の成果は、CAR-T療法を臨床につなげるための新たなアプローチになると考えています」と説明します。

原田助教は、本学大学院医学研究科先端医科学専攻(博士課程)を経て2020年に医学部付属病院血液腫瘍内科に着任。アメリカ・ロサンゼルスにある研究機関City of Hopeの造血悪性腫瘍トランスレーショナルサイエンス部門への留学を経て、現在は海老名総合病院血液内科に勤務しています。「研修医時代に、若い白血病の患者さんが造血幹細胞移植によって劇的に回復した姿を見て、免疫の力を実感したことが血液腫瘍科に進んだきっかけです。現在はこの成果をベースに、副作用を押さえながら治療効果を高める研究を進めています。CAR-T細胞療法を少しでも早く患者さんに届けるために努力を続けます」と話しています。

※『Journal of Hematology & Oncology』に掲載された論文は下記URLからご覧いただけます。
https://link.springer.com/article/10.1186/s13045-025-01755-6