医学部では3月24から28日まで、イタリア・ローマのキャンパス・バイオメディコ大学(UCBM)で、「スポーツ医学と筋骨格系研究に関する国際交流週間」を初めて開催しました。本学が文部科学省「高度医療人材養成拠点形成事業」の選定を受けて2024年度から取り組んでいる「スポーツ医学と運動器を中心とした先端医療国際リーダー育成プログラム」の一環として、UCBMと共同で企画したものです。本学からは、体育学部などと連携して展開している「スポーツ医学プロジェクト」のリサーチアシスタントを務める医学科生4名をはじめ、大学院生2名、研究員2名、付属病院の研修医1名、教員1名の計10名が参加。UCBMの研究者や医学生らと、スポーツ医学や脊椎外科、関節疾患分野に関する知見を共有し、共同研究に向けて意見を交わしました。
初日にはアイスブレイクを兼ねて、両大学の概要や医学教育、双方の医療制度を紹介。2日目以降は、午前中にUCBM付属病院で膝や脊椎などの手術を見学し、午後はスポーツ医学や再生医療に関する研究成果を発表して議論を交わしました。最終日には、イタリア労働・社会政策省の後援を得て「筋骨格系国際シンポジウム」も開催。2013年にノーベル生理学・医学賞を受賞したアメリカの細胞生物学者ランディ・シェクマン博士や本学の酒井大輔教授(外科学系整形外科学領域)をはじめ世界を牽引する研究者が登壇しました。



医学科5年次生の田中健敬さんは、「少年野球で肩を痛めた経験から漠然と抱いていた“選手を支援したい”という夢が、“成長期から継続的に野球選手に寄り添えるスポーツドクターになる”という目標に変わりました。常に最新の知識と技術を学ぶ必要性も実感しました。世界を見据えて勉学に励み、スポーツ医学分野での良医を目指します」と意欲を語ります。2日目に「駅伝選手の血液特性」に関する研究成果を発表した大学院医学研究科博士課程2年の相馬葉月さんは、「研究発表後の意見交換で得られた新たな視点からさらに研究を深め、成果を選手に還元したい。将来は、学生アスリートが自分の体の状態を科学的に把握してコンディションやトレーニングの調整ができるよう支援するなど、総合的なサポートシステムを構築できれば」と展望を話します。
指導する酒井教授は、「専門分野に特化した国際プログラムは初めての試みでした。学部生はグローバルな研究に触れ、世界と連携して医学の発展を目指す意義を学んでくれたと感じています。大学院生や研究者、研修医は、自分の研究テーマを多様な視点から捉え直すとともに、国際共同研究について具体的に考える契機になったと思います。5日間にわたる交流は、筋骨格系に関する知識を深め、診療技術を向上させるだけでなく、国を超えた友情や協力関係を育む機会にもなりました。研究、教育、臨床における国際交流をさらに進め、スポーツ医学を牽引する人材の育成を図りたい」と話しています。
※学年は当時


