伊勢原キャンパスの医学部付属病院では6月7日に松前記念講堂で、市民公開講座「脳の病気について~脳卒中・脳腫瘍・認知症~」を開催しました。本病院では、地域の人々の健康増進に役立ててもらうため、定期的に公開講座を実施しています。今回は、さまざまな機能障害を引き起こし、日常生活や健康寿命に大きな影響を与える脳の病気について、脳神経外科の医師2名が解説。近隣住民ら約150名が参加しました。

初めに野中洋一医師(医学部医学科准教授)が、「脳外科手術で治る、見逃されやすい病気」をテーマに講演。頭の中の構造や脳の各部位の働き、CTやMRI画像による診断をはじめ、頭痛やめまい、視覚・聴覚・言語・歩行障害などの症状から疑われる「くも膜下出血」「脳梗塞」「脳腫瘍」といった疾患について解説しました。さらに、高度で熟練した技術を有する医師が、ナビゲーションシステムや術中MRIなどの医療機器を用いて行う脳腫瘍の最新手術についても説明。最後に認知症の予防法を紹介し、「最も大切なのは“気持ち”です。過去に執着せず、未来を不安視せず、今この瞬間を一生懸命楽しんでください。万一の場合には私たちが全力を尽くします」と語りかけました。

続いて反町隆俊医師(医学部医学科教授)が、「脳卒中にならないために~認知症予防へのつながり~」と題し、脳の血管が詰まったり血管が切れたりして発症する脳卒中の種類と診断、治療法を説明。生活習慣の見直しや、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の治療といった予防法をはじめ、脳卒中の予兆となる症状や救急車を呼ぶべきタイミングについても解説しました。また、認知症の種類やレベル、14項目の危険因子についても紹介し、「要介護の主要因である認知症と脳卒中の予防は、健康な生活の第一歩です。今後も、患者さんの状況や希望を考慮するとともにご家族や医療チームと連携し、皆さんの幸せを第一に考えて治療にあたっていきます」と結びました。
講演後には、重松秀明医師(医学部医学科講師)の司会で質疑応答を実施。会場からは、脳卒中の治療薬や認知症が疑われる場合の医療機関への受診時期といった多くの質問が寄せられ、講師が丁寧に回答しました。参加者は、「さまざまな脳疾患の発症サインやCT・MRI画像の見方を学べてよかった。高い知識と技術を持った信頼できる先生方が近くにいてくださって安心です」「脳卒中も認知症も怖い病気ですが、生活習慣を整えることで予防できると分かりました。家族や知人にも伝えたい」などと感想を話していました。


