総合医学研究所では11月29日、30日に東海大学山中湖セミナーハウスで「第21回研修会」を開催しました。この研修会は、若手研究者の育成や学内外の研究機関との連携促進などを目的としたものです。今回は、大学院生や奨励研究員らによる研究発表や特別講演、招待講演をはじめ、昨年、文部科学省「高度医療人材養成拠点形成事業」に選定された「スポーツ医学と運動器を中心とした先端医療国際リーダー育成プログラム」に関する座談会も実施。マイクロ・ナノ研究開発センターや先進生命科学研究所、スポーツ医科学研究所の研究者や大学院生ら多数が参加しました。
初めに、本研究所の稲垣豊所長(総合医学研究所教授)が企画の趣旨を説明。「今回は、特に若手研究者に『発表の場』と『自由に発言できる場』を提供することを重視しました。ぜひ活発に議論してください」とあいさつしました。



第1部では、大学院生や奨励研究員ら10名が研究成果を発表し、参加者と活発なディスカッションを行いました。第2部の特別講演には、本学学長室(研究推進・産学連携担当)の中島孝部長(情報理工学部教授)が登壇。「温暖化しつつある地球を診察(観察)する~衛星気象学の現在地~」をテーマに、地球温暖化のメカニズムや温暖化の未来予測、人工衛星を使って地球を観測するリモートセンシング技術とその活用例を紹介しました。招待講演では、東京科学大学マテリアル神経科学分野教授の味岡逸樹氏が「ペプチドを基盤とした新規モダリティ 『分子集合体治療』の創出への挑戦」と題して、脳梗塞後の炎症と再生を制御するペプチド分子集合体「JigSAP」が脳組織を再生させるメカニズムやその治療応用について説明しました。



1日目終了後の情報交換会では、参加者と講演者が研究内容について活発に意見を交わす姿が見られました。また、第1部の発表者の中から参加者の投票により選ばれた「若手優秀研究賞」の発表と表彰式も行いました。

2日目には、第3部の研究紹介2件に続き、第4部として「スポーツ医学と運動器を中心とした先端医療国際リーダー育成プログラム」に関する座談会を実施。大学院医学研究科の穂積勝人研究科長が司会を務め、秦野伸二副学長(研究担当、医学部医学科教授)やスポーツ医科学研究所の山田洋所長(体育学部体育学科教授)、本研究所の稲垣所長、佐藤正人次長(医学科整形外科学領域教授)、酒井大輔教授(同)らが、本プログラムの構想や体制、現在の取り組み、今後の展望について語りました。最後に佐藤次長があいさつに立ち、「この研修会が、研究のさらなる進展や新たな共同研究につながるよう期待しています」と結びました。
※なお、「若手優秀研究賞」受賞者は以下のとおりです。
1位 横瀬颯人(大学院総合理工学研究科(博士課程)2年次生、マイクロ・ナノ研究開発センター特定助手)
「異形高分子微粒子の創製と凝集比濁法の抗原検出感度向上」
2位 福岡優斗(大学院総合理工学研究科(博士課程)1年次生、マイクロ・ナノ研究開発センター特定助手)
「イノシトールリン酸の熱泳動」
3位 寺田智哉(大学院医学研究科先端医科学専攻(博士課程)1年次生)
「マクロファージによる炎症病態進展メカニズムの解明に基づく新規治療法の開発」
