医学部付属病院の臨床工学技士(CE)らがタイの生体工学技士(BME)制度の確立や人材育成に協力しています。11月24日から12月5日には、タイ・ランシット大学医用生体工学部の学生を対象としたBME研修を実施しました。この取り組みは、診療技術部臨床工学技術科のCEらが中心となって2017年に開始し、現在は、「東海大学医学部付属病院診療技術部TRICOLOR (Tokai Rangsit International Collaboration on Human Resource Development in Medical Device Management)プロジェクト」として展開しています。
今回は5日間のプログラムを2回実施し、合計18名が受講。当院のCEが中央手術室や血管造影室、エネルギーセンターなどの施設を案内し、人工心肺装置や血液浄化装置といった医療機器の構造や保守管理方法について講義しました。また、医学部付属八王子病院では、呼吸器外科の中川知己医長(医学部医学科准教授)が肺の手術を例に、医療機器の使用法や多職種連携によるチーム医療について説明。テルモ株式会社とオリンパス株式会社では、実際の医療機器を用いたトレーニング体験を実施しました。



本研修に先立つ10月28日から11月2日には、松前重義記念基金国際活動助成を受けた事業「タイ王国ランシット大学国際病院(AIH)開設プロジェクトへの参画」として、診療技術部臨床工学技術科の西原英輝科長ら5名がタイを訪問。タイ初の私立大学病院として2027年に完成予定のAIHの建設現場を見学し、さらなる連携強化に向けて議論しました。また、ランシット大学大学院では、教員や大学院生を対象とした特別ミニシンポジウムを開催し、日本のCE制度や医工連携の取り組みを紹介。 さらに、2025年6月に本学医学部と学生交換協定を締結したモンクット王ラカバン工科大学(KMITL)医学部や、先進的な医療を提供しているクイーンサバーン赤十字病院、パヤタイ2病院、医療ツーリズムを展開するサミティベート病院を訪れ、タイの医学教育や医療制度に関する知見を深めました。
西原科長は、「ランシット大学の学生に対するBME研修は受講者から好評で希望者が増加していると聞いており、さらなる内容の充実を図りたいと考えています。 一方、今回のタイ訪問ではKMITL医学部との交流や実習病院の見学といった初めての活動が加わり、この訪問を機に、本学医学部に留学中のKMITLの医学生を臨床工学技術科の実習生として2日間受け入れるといった新たな展開がありました。 運営に協力してくださる患者さんをはじめ、付属病院機関の医療従事者や事務職員、関係機関の皆さんに感謝しています。タイとの連携プロジェクトの原点は、国内外の医療の潮流を把握して臨床工学に関する知識を高めるとともに、医療者としての幅を広げることにあり、その目的に向かって着実に歩みを進められていると感じています。今後はこの活動を他職種にも広げ、私たちの提供する地域医療サービスの向上にもつなげたい」と話します。
BME研修の当初からアドバイザーをしているスポーツ医科学研究所の木ノ上高章特任教授は、「参加各員は十分な準備の下、先方への説明などに力を発揮してくれました。 今回はランシット大学医用生体工学部の協力により、AIHの経営陣に対して本学医学部付属病院や日本型CE制度について説明する機会を得ましたが、先方の経営陣は非常に興味を示し、さらに交流を深めたいとの希望が寄せられました。長年にわたって国際研修に携わる中で認識したのは、国際交流・協力は“学び合い”だということです。常に先方の医療提供の状況などを見聞きするとともに、翻って私共の地域保健医療の今後のあり方を学ぶ姿勢を持って、このプロジェクトが続くよう願っています」と語っています。





