総合医学研究所が「第29回公開研究報告会」を開催しました

総合医学研究所では3月13日に伊勢原キャンパスで、「第29回公開研究報告会」を開催しました。本研究所では、専任所員と医学部医学科の教員を兼務する所員らが、基礎医学と臨床医学の有機的融合による疾患の病態解明や新たな診断・治療法の開発、創薬研究を推進し、特にゲノム・再生・創薬に関する顕著な業績を国内外に発信しています。報告会は、所員が1年間の研究成果を共有するために実施しているものです。当日は、医学部の教職員や大学院生、生命科学統合支援室の技術職員、マイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)の研究者ら多数が参加しました。

初めに、稲垣豊所長がプログラムの趣旨を説明し、「今回は4名の報告に加え、今年度で定年を迎える松阪泰二先生に特別講演をお願いしました。長年にわたり本研究所の運営に尽力するとともに多くの研究実績を上げた松阪先生から研究や総医研の歴史をお聞きし、今後の糧としたいと思います」とあいさつしました。

研究報告では中川草准教授が、本研究所の旗印となる成果を目指す「コアプロジェクト1」として展開している「ウイルス様エレメント(VE)研究基盤の創設と発展」について発表。VE(ウイルスに由来すると考えられる塩基配列)に関するデータベースの開発や、その解析によるVEと疾患との関連の探索といった、これまで得られた多様な成果に加え、医学部生や国内外の研究者と進めている共同研究の進捗状況を説明しました。また、次代を担う若手研究者の育成を目的とする「特別研究所員制度」で採用された研究者ら3名が、研究の意義やこれまでの成果、発展の可能性をアピール。各発表について活発な意見交換を行いました。

「たこ足細胞に魅せられた27年」と題して講演した松阪教授は、腎臓の糸球体上皮細胞(たこ足細胞)の傷害による腎不全の発症機序の解明や治療法開発への道筋を見いだすための研究成果について解説。MNTCとの共同研究や本研究所の宿泊研修会でのエピソードを紹介し、「腎臓病の有効な治療法・予防法の開発は喫緊の課題であり、新しいアイデアを持ってこの分野の研究を発展させてほしいと願っています。親しくしてくださった多くの先生方に感謝します」と結びました。

最後に佐藤正人次長が、「総医研の研究が分野横断的に広がり、着実な成果を上げていることを改めて感じました。さらなる研究の充実に向けて、引き続きご協力をお願いします」と述べました。

なお、当日のプログラムは下記のとおりです。
[開会の挨拶]
 稲垣 豊所長
[特別研究所員報告]
 遠藤 整【脳神経機能部門】(基盤診療学系衛生学公衆衛生学領域准教授)
 「高学習能Tokai High Avoiderラットの有用性と医学研究への応用」
[2025 年度コアプロジェクト1報告]
 中川 草【オミクス部門】(基礎医学系分子生命科学領域准教授)
 「ウイルス様エレメント(VE)研究基盤の創設と発展
  -様々な疾患との関わりと治療法の探索、そして生物進化から次の感染症対策まで-」
[特別講演]
 松阪泰二【病態生理部門】(基礎医学系生体機能学領域教授)
 「たこ足細胞に魅せられた27年」
[所員報告]
 今西 規【オミクス部門】(基礎医学系分子生命科学領域教授)
 「電子カルテ情報解析プラットフォームを用いた併存疾患ネットワークの構造解析」
[2025 年度コアプロジェクト2報告]
 津川 仁【感染免疫機能部門】(基礎医学系生体防御学領域准教授)
 「消化管内細菌由来菌体外膜小胞が起点となる疾患発症の分子メカニズム解明とその予防法開発」
[閉会の挨拶]
 佐藤正人次長(外科学系整形外科学領域教授)