大学院体育学研究科(博士課程前期)の福田文香さんが9月6、7日に、帝京平成大学中野キャンパスで開催された第14回日本アスレティックトレーニング学会学術大会で「優秀発表賞」を受賞しました。同学会は、アスレティックトレーナーが関わるあらゆる領域の科学的研究とその発展、アスレティックトレーニング学の普及・発展に寄与することを目指して設立されたものです。

福田さんが受賞したテーマは、「大学女子バレーボール選手における試合前の身体問題がメンタルヘルスに与える影響」です。福田さんは、学部生時代からプレーヤーとして湘南キャンパスで活動する体育会女子バレーボール部に所属。研究の背景について、「自分が選手時代に膝前十字靭帯損傷という大ケガを2度経験し、練習や試合を休まざるを得ない状態と回復途上の不安定な精神状態に悩みました。スポーツ活動への参加を制限されるまでに至らなくても、身体の不調で往々にして気持ちが途切れる仲間たちを目の当たりにし、その実態を明らかにしたいと思いました」と振り返ります。
福田さんは女子バレーボール部の選手を対象に、大きな大会を控えた直前の1カ月間を振り返るアンケートを実施。外傷・障害、疾病やその他の身体状態の問題により、練習や試合出場、またどの程度パフォーマンスに影響があったかなどに加えて、「チームメイトの近くにいるのがつらかった」「モチベーションが下がった」「イライラしたり怒ったりした」「選考のプレッシャーに対応するのが大変だった」「競技生活を引退した後の人生が心配だった」といった心理的苦痛の程度を細かく調査しました。「その結果、身体状態に問題を感じると、特にモチベーションの低下やイライラするなど精神状態に影響があることがわかりました。この成果は、一緒にバレーボールに取り組んだ仲間たちの協力があってこそのものと心から感謝しています。今後も、身体問題がアスリートのメンタルヘルスに与える影響の検証を続け、不調に悩むアスリートへの声かけなども含めたコンディションのサポートに科学的知見を活かして貢献したい」と話しています。



笹木准教授は、「トップアスリートが活躍する本学で身体問題とメンタルヘルスの研究に取り組む意義は大きい。本研究は、ジュニアアスリートのケガとメンタルの問題や、高齢者の身体状態と心のありようなどの検証にも貴重な視座を与え、広く汎用されるテーマだと考えます」と話しています。