体育学研究科の宮城島さんが「第27回日本感性工学会大会」で優秀発表賞を受賞しました

大学院体育学研究科博士課程後期の宮城島晃大さん(指導教員=体育学部スポーツ・レジャーマネジメント学科・押見大地准教授)が、9月17日から19日まで開催された「第27回日本感性工学会大会」で優秀発表賞を受賞しました。日本感性工学会は、人の感性や心理的な価値を科学的に解明し、製品・デザイン・サービスなどの創造に応用することを目的とした学会です。押見准教授の研究室では、スポーツ医科学研究所の山田クリス孝介准教授と早稲田大学スポーツ科学学術院教授の佐藤晋太郎氏、株式会社電通・株式会社電通サイエンスジャムと共同で、スポーツ観戦の体験価値を可視化する研究に取り組んでいます。今回はその成果を宮城島さんが筆頭著者となり、「スポーツ観戦における脳波測定-感情の同期性と観戦満足度に着目して-」と題して発表しました。

スポーツ観戦の体験価値に関する研究の多くは、観戦後のアンケートやインタビューなど主観的なデータに基づくものが一般的である中、本研究はスポーツ観戦中の観客の脳波を計測することで、感情の変化を定量的に解明することを目的としています。観客同士の「一体感」や「共鳴」といった点に着目し、今春に開催されたサッカー日本代表戦の会場で大学生14名を対象に調査を実施。“初対面の7名”と“親しい友人の7名”で観戦した際の感情の動きを調べました。宮城島さんは、「調査前は、友人と観戦する方が互いの感情が同期しやすいと予想していました。結果として、友人同士のグループの方が興奮や集中の高まりなどが見られたものの、もう一方のグループとの相関が高く、グループ単位というよりも会場全体の感情が一体となっている傾向が見られました。今回は日本代表の試合のため、会場の一体感が高まりやすいケースであることも影響していると思うので、今後は通常のリーグ戦やほかの競技、テレビで観戦した際の脳波計測なども行いたいと考えています」と話します。また、学会大会を振り返り、「スポーツをテーマにした研究発表がほとんどないため、珍しさもあってか多くの方に聴講していただきました。情報を詰め込み過ぎて少し早口になってしまった反省点はありますが、初めて学会で受賞できたのでとてもうれしく思います。他大学や企業との共同研究は、普段と異なる知見を得られる貴重な経験となりました」と語りました。

指導にあたった押見准教授は、「脳科学とマーケティングを組み合わせた“ニューロマーケティング”の研究は近年日本でも少しずつ始まっていますが、まだ広く普及していません。特にスポーツ観戦と脳波を掛け合わせた研究は珍しく、その新規性も評価のポイントになったと思います。また、サッカーは一試合90分以上あるため、膨大なデータを分析するのはとても根気のいる作業ですし、何度も企業へのプレゼンテーションを重ねたことで濃度の高い論文を完成させてくれました。この経験を、次回の研究にも生かしてもらいたい」と期待を寄せました