原子力工学科の内田教授が参画する研究プロジェクトが環境省の「平成29年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」に採択されました

工学部原子力工学科の内田裕久教授が参画する研究プロジェクト「効果的なCO2削減を目指した水素吸蔵合金による再生可能エネルギーの貯蔵」がこのほど、環境省の「平成29年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」に採択されました。本事業は、将来的な地球温暖化対策の強化につながる二酸化炭素排出削減効果の高い技術の開発・実証を支援し、CO2排出量の大幅削減を目指すものです。本研究では、那須電機鉄工株式会社が研究代表者を務め、内田教授はプロジェクト全体をマネジメントする総合アドバイザーを担当します。

プロジェクトでは、風力発電などの再生可能エネルギーによって生み出した電力を水素吸蔵合金に貯蔵することでエネルギーの地産地消や安定供給につなげる技術の実用化を目指します。風力や波力、太陽光などの発電技術は世界的にも研究と普及が進んでいるものの、季節や天候に発電量が左右されてしまうことから、これまでは需要の高い時期や場所への安定供給という面で課題がありました。その課題解決のため、内田教授が長年にわたって培ってきた高性能なナノ構造化水素吸蔵合金を活用。電気を加水分解して水素に変換したものを吸蔵合金タンクに貯蔵するシステムを実現し、ニーズの高い場所や時期に供給できる技術の確立を目指します。合金の大量生産には、那須電機鉄工が持つ「メカニカル・アロイング」という省エネルギーでの合金加工技術を利用するほか、風力エネルギーの権威である足利工業大学の牛山泉教授らも研究に参画します。

内田教授は、「今年2月に開催されたダボス会議で、今後のエネルギー大量・長期貯蔵には水素を使うことが決定されるなど、水素吸蔵合金技術には世界的にも高い関心が寄せられています。プロジェクトには本学の卒業生も多数参加しており、彼らとともに進めていくのは私自身にとっても大きな喜びでもあります。今後は、デンマークをはじめ海外の研究機関などとも協力しながら、世界に先駆けた次世代技術の実用化を実現したい」と話しています。

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