卒業生の内田さんが第59次南極地域観測隊員に選ばれました

大学院工学研究科航空宇宙学専攻を2014年度に修了した内田ヘルベルト陽仁さん(総合研究大学院大学複合科学研究科極域科学専攻・国立極地研究所)が、6月23日に発表された第59次南極地域観測隊の隊員に選ばれました。観測隊は、今年11月に日本を出発し、約1年4カ月にわたって南極地域で越冬観測を行います。今回は73名のメンバーで構成され、内田さんは研究観測を担い、鏡写しのオーロラのメカニズム解明を目指す観測プロジェクトに従事します。

内田さんは、本学在学中には三宅亙教授(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻)の指導のもとで大気の高層にある電離圏の変動について人工知能を使って予報する研究に取り組みました。卒業後は、さらに研究を深めたいと総合研究大学院大学に進学。極地研の片岡龍峰准教授の指導を受けながら、ハイスピードカメラを使ってオーロラを観測する研究に取り組んでいます。なかでも、同じ磁力線上にある北極圏のアイスランド北東部と南極圏の昭和基地周辺で同時に同じ特徴を持つオーロラが発生する現象に着目。両地点で全く同時刻に撮影できるよう開発した独自の基板を用いて記録したハイスピードカメラの画像と、ジオスペース探査衛星「あらせ(ERG)」が観測したオーロラを光らせる粒子や宇宙空間の電磁波のデータを組み合わせて、発生メカニズムの解明を目指しています。

「これまでの何度かオーロラの観測を行ってきましたが、実際に現物を見ながらの観測は、単にモニター上で見るのとは違う圧倒的な感動があります。南極にはいつかチャンスがあれば行きたいと思ってきたので、昭和基地という限られた環境の中での生活や研究に今からわくわくしています。世界的にコンパクトシティやエネルギーの地産地消をという発想が注目されていますが、昭和基地での生活は自分なりにそうした社会を実現するためのスケール感をつかむチャンスにもなると期待しています。研究はもちろん、生活のすべてが発見だと思います。この貴重な機会を最大限に生かしたい」と話しています。

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