マイクロ・ナノ啓発会の第7回学術講演会を開催しました

8月9日に湘南キャンパスで、東海大学マイクロ・ナノ啓発会(Tμne)の「第7回学術講演会」を開催しました。この会は本学若手研究者の連携を図り、マイクロ・ナノサイズ領域における研究の相互理解を深めるとともに、斬新で独創的な研究テーマを涵養することを目的に活動している有志団体で、年2回学術講演会を開いています。今回は、ニコンインステック株式会社と本学が連携して本キャンパスに共同利用施設「東海大学イメージング研究センター」が設置された記念企画として実施したもので、学内外から研究者や学生約250名が参加しました。

開会にあたっては、吉田一也副学長(研究担当)があいさつ。イメージング研究センター設立に触れながら、「本センターが、医学、理学、工学などあらゆる学問分野の発展につながることを期待しています」と語りました。続いて槌谷和義教授(工学部精密工学科)が、センター設立の経緯を説明し、「本センターは、バイオ系から産業系までの光学機器がそろった日本でも例のない研究拠点です。ここから、新たなイノベーションを創出していきたい」と決意を語りました。

その後の基調講演では、東京大学の吉川雅英教授(大学院医学系研究科生体構造学分野)が「クライオ電子顕微鏡で見る繊毛の分子構造メカニズム」と題して講演。電子顕微鏡開発の歴史とその背景、真核細胞の繊毛を事例とした最新の研究成果と今後の可能性を紹介しました。続いて、株式会社ニコンの圓谷寛夫氏(産業機器事業部開発部長)が、「非接触測定、非接触非破壊検査へのニコンとしての挑戦」の論題で、イメージング技術が進化することで広がる今後の技術的な可能性について語りました。

さらに、本学の学生や大学院生、教員が互いの研究成果を紹介するポスターセッションを実施。各ブースでは、自らの研究を熱心に説明する姿や、今後の可能性について意見を交換し、発表者とは異なる分野の視点からアドバイスを送る様子などが見られました。懇親会では、参加者の投票によって選ばれたベストポスター賞も発表。最後にあいさつに立った研究推進部の山口滋部長は、「イノベーションは、ある領域で培われてきた知見が別の分野に取り入れられることで生み出される傾向が強くなっています。その土台として、こうしたイベントは今後も大切になります。この会をきっかけに、さらに活発な議論が生まれ、研究が発展していくことを期待しています」と語りました。

本講演会の運営を担当した岡村陽介准教授(工学部応用化学科)は、「分野をこえた連携を成功させるためには、日常的に交流し信頼関係を築ける環境が欠かせない。今後もTμneがそのきっかけのひとつになってくれれば」と本会を振り返る。参加者からは、「啓発会は、最新の研究結果について学内の先生方からさまざまな視点から気軽にアドバイスをもらえるため、学生にとってとても有意義です。他の研究室からも刺激を受け、モチベーションアップにもつながります」、「異なる分野について研究している学内の研究者とのネットワークづくりの場として、大変有意義だと感じています。毎回参加する中で、ネットワークの広がりも実感できています。今後も積極的に参加し、さらなる研究協力につなげていきたい」といった感想が聞かれました。

なお、「東海大学マイクロ・ナノ啓発会(Tμne)ベストポスター賞」の受賞者は以下のとおりです。

◇におい分子吸脱着能を有するキトサンナノシートの創製
土屋 笙子 (工学部応用化学科4年次生, 岡村研究室)

◇駿河湾産未利用魚を活用した魚醤油の製造に関する研究
石井 陽菜 (大学院海洋学研究科海洋学専攻修士課程2年次生, 後藤研究室)

◇妊娠ヒト化マウスにおける白血球の動態解析
大野 裕介 (工学部生命化学科4年次生, 医学部基礎医学系 亀谷研究室)

◇誘電泳動現象を活用した赤血球の変形能計測デバイス ~電界強度に関する検討~
額賀 正行 (大学院工学研究科機械工学専攻2年次生, 木村研究室)

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