原子力工学科の学生と大学院工学研究科応用理学専攻の大学院生が日本原子力学会のフェロー賞を受賞しました

工学部原子力工学科4年次生の樺沢さつきさんと大学院工学研究科応用理学専攻2年の高橋裕太さんが、このほど日本原子力学会のフェロー賞をそれぞれ受賞。3月27日に大阪大学で開催された日本原子力学会「2018年春の年会」に合わせて行われた表彰式で、賞状と記念の盾を授与されました。この賞は、原子力・放射線分野を学び修めた学業優秀な学生・研究成果を達成した大学院生が対象で、全国の大学・高専の原子力工学系の学科と専攻から本年度は33名に贈られました。

樺沢さんは、卒業研究として「管理型放射性廃棄物処分施設からの漏洩核種移行評価モデル解析解の導出」に取り組みました。放射性廃棄物は、原子力発電所などの運転にともない発生する放射能レベルの低い「低レベル放射性廃棄物」と、使用済燃料の再処理後も利用できない放射能レベルが高い「高レベル放射性廃棄物」に分けられます。放射能レベルの低いものは焼却処分などを経たあと低層地に埋められ、高いものは地中深くに埋められて処分されます。しかし、数百年から数千年という長い期間を経て、地下水とともに放射性廃棄物内の核種が流れることが懸念されているため、樺沢さんは長期間に放射性廃棄物からどれほどの核種が流れ出るかについて解析しました。樺沢さんは、「高校時代に東日本大震災の報道を見て、私も原子力の課題を解決できる人間になりたいと考えるようになりました。今回の研究がその一端につながればうれしい。フェロー賞をいただけたのは、指導に当たってくれた先生方のおかげで、感謝しています。賞を励みにこれからも大学院で研究を続けていきます」と話しました。

また、高橋さんは修士論文「移行パラメータ自己設定型物質移行解析手法の開発」をまとめ、関連する学術論文などの成果によって受賞しました。この4月から樺沢さんは、大学院工学研究科応用理学専攻に進学。高橋さんは、国立研究開発法人原子力研究開発機構に就職しています。

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