湘南キャンパスで12月18日に、体育学部武道学科の山下泰裕教授が復帰後4回目となる対面授業を担当。終了後に記者会見しました。山下教授は2023年10月、プライベートでの旅行中に転倒した際、頚髄を損傷。約2年間にわたり療養とリハビリに取り組んできました。退院後、今年11月から車いすでキャンパスに通い、武道学科3年次生を対象とした開講科目「柔道論」の授業の一部を担当してきました。復帰後4回目となるこの日の授業では、武道学科の学生約30名を対象に、柔道を通じて得た学びやこれまでの経験に基づいた人生哲学などについて講義しました。

会見には新聞社やテレビ局など報道機関から約30名の記者らが出席。山下教授はまず、事故に遭った当時を振り返り、「露天風呂から立ち上がった瞬間に意識がなくなり、気が付いたら崖の横に倒れていました。助けてくださった方の呼びかけで意識を取り戻した時には、手足の感覚が全くありませんでした」と当時を振り返り、「その時正直に思ったのは、これでプレッシャーから解放されるのかな、ということでした」と語りました。その後、本学伊勢原キャンパスの医学部付属病院で手術を受け、約2年間にわたり療養とリハビリに専念。今年9月に退院した山下教授は、「命を落とさなかったことは紙一重でした。妻から“命があったということは生かされているのよ”と言われ、その意味を考えながらやってきました。今は、自分一人では何もできませんが、多くの人の協力に感謝しながら、できる活動をしていきたい」と話します。
復帰後は、車いすで教壇に立ち、来年度も授業を担当する予定で調整が進んでいます。「首から上は動きますが、上半身と下半身は動かず肺活量も3分の1程度。しかし、ありのままの自分をさらけ出すことが、障がいへの理解を広げることにつながります。パラリンピックやデフリンピックを含めた障がい者スポーツとの関わりでは、具体的に何ができるかはまだ見えていませんが、できることがあれば力を尽くしたい。自分の現状を理解しながら、学生との授業などを通じて、障がいを少しでも身近に感じてもらえたら」と語りました。
