情報技術センター(TRIC、内田理所長)主催の展覧会「宇宙考古学から見たシルクロードの西と東」(共催:公益財団法人日中友好会館、淑徳大学)が、8月16日まで東京都・日中友好会館美術館で開催。期間中の8月1日に惠多谷雅弘研究員による特別記念講演「宇宙考古学への招待」を実施しました。同展は、シルクロードの西と東の地域にスポットを当てた衛星画像を通じて、中国文明と遠く離れたエジプト文明とを比較しながら紹介。本学文明研究所の東海大学エジプト及び中近東コレクションなどの展示も同時企画し、会期中は3,600人を超える来館者でにぎわいました。

講演会は、事前に予約した約130名が聴講。惠多谷研究員はまず、宇宙考古学の概要について解説しました。世界の主な古代都市や遺跡が北緯30度から40度の砂漠地帯に集中していることがわかる衛星画像を示し、「これらの古代都市が栄えた時期、その地域は温暖で湿潤な気候であったと考えられます。このように衛星データから古代について考えるのが宇宙考古学の基本であり、文明や環境の変遷に関わる調査は、将来的な環境変動予測のための貴重な手がかりにもなります」と話しました。続いて、エジプトにおける衛星データによる未知のピラミッド探査や、中国・秦始皇帝陵の調査などの実績を紹介。同展で展示されている5m大のシルクロードのマップについて解説し、「シルクロードの東側の始点を日本の奈良と考え、約500地点の遺跡情報を加えた画像図に仕上げています。さらに地形情報を加えた画像を見ると、シルクロードはあまり起伏がない地形を選んで通っていることもわかります。苦労して作成したマップなので、ぜひじっくりご覧ください」と案内しました。
最後に、現在取り組んでいるアラビア半島北西部の紅海沿岸地域の遺跡調査について、最新の成果と今後の展望について紹介。「1世紀半ばの貴重文献『エリュトゥラー海案内記』で言及される古代の港の中でいまだ考古学的に確定していないものがあり、衛星画像解析を用いた2018年の調査で地表に中世の遺物が分布する港の発見に成功しています。今後、発掘調査が進むことで、大発見につながることも期待できます」と話しました。聴講者からは、「地上ではわからない痕跡が宇宙から見えることに驚きました。貴重な話を聞けたので展覧会をもう一度観ます」「文明を左右する気候変動の影響や壮大な歴史の流れを実感しました」などの感想が聞かれました。
