
海洋学部海洋生物学科の藤岡紘准教授の研究グループがこのほど、マカジキに関する学術論文「北太平洋西部における海面水温と関連したマカジキの季節的な長距離回遊」を国際学術誌『Marine Biology』に発表しました。本研究は、これまで詳しく分かっていなかった東シナ海北部を起点とするマカジキの季節的な長距離回遊を、衛星タグによる追跡調査で初めて明らかにしたものです。本研究は、水産庁による「水産資源調査・評価推進事業」のうち、国際水産資源動態等調査解析事業として、国立研究開発法人水産研究・教育機構と東海大学が共同で実施しました。
研究グループでは、2023年8月に対馬沖の東シナ海でマカジキ10個体に衛星タグを装着し、その移動を追跡しました。その結果、マカジキは夏から秋にかけて東シナ海北部に滞在した後、11月下旬から12月上旬にかけて2,000km以上南下し、一部は南シナ海まで移動することが分かりました。さらに、この南下は海面水温が約21℃まで低下する時期と重なり、マカジキが低水温を避け、季節的に生息域を変えている可能性が示されました。本成果は、マカジキの長距離回遊と海洋環境の関係を理解する上で重要な知見であり、今後の海洋環境変化に伴う分布変動の予測や水産資源管理への貢献が期待されます。
藤岡准教授は「マカジキが南シナ海まで移動していることが初めて分かったときには、驚きのあまり思わず研究室で声を上げたほどです。まだまだ知らないことがあるという研究の面白さを実感すると同時に、新たな「なぜ?」という疑問も湧いてきました。回遊魚がどこを泳ぎ、どのような環境を選ぶのかを理解するには、水温だけでなく、摂生物の分布や産卵など、さまざまな要因を考える必要があります。今後は、こうした要因と回遊行動の関係をさらに詳しく調べ、回遊魚の生態解明と資源管理に役立つ研究を進めていきたいと考えています」と話しています。
なお、本研究成果が掲載されている国際科学雑誌『Marine Biology』は下記リンクから閲覧できます。
https://doi.org/10.1007/s00227-026-04951-1


