文化社会学部アジア学科の山花准教授と工学部材料科学科宮沢教授の研究チームがSPring-8にて共同研究を行いました

文化社会学部アジア学科の山花京子准教授と工学部材料科学科の宮沢靖幸教授、宮沢研究室の学生たちによる文理融合共同研究チームが7月12、13日に、兵庫県佐用郡にある理化学研究所の大型放射光施設「SPring-8」で、高輝度放射光による古代エジプトとアンデス遺物(本学所蔵)の蛍光X線CT及びX線吸収微細構造分析(XAFS)を実施しました。「SPring-8」の2018年度前期採択課題2018A「重点 社会・文化利用課題」に採択された「古代ロウ付け技術の解明に向けて―旧大陸と新大陸の比較-」の一環として行われたものです。
東海大学文明研究所では古代エジプトおよび中近東コレクション(AENET)とアンデス・コレクションを所蔵しており、日本有数のコレクション数の中から金属器を選定。接合部分の状態をSPring-8のX線CT及びXAFSを用いて把握し、金属の接合部分に焦点を当てて分析、金属利用の歴史について調査しています。古代エジプト学が専門の山花准教授が研究代表を務め、金属ろう付技術が専門の宮沢教授と連携して、古代ロウ付け技術や古代の金属製品製作技術を解明することを目的に研究・調査を続けています。今回、解析対象としたのは、古代エジプトの武器や農具などの銅・青銅製品とアンデス(モチェおよびチムー文化期)の青銅、銀、金製のカップや装飾具など計13点です。特に金銀製品などは、汎用型装置では分析が難しいため、世界最高性能の放射光を利用することとなりました。
2日間で計24時間をかけて行った分析では、古代エジプト遺物(ローマ時代)の鉄製品が「焼きなまし」により作られている可能性があることや、アンデスの遺物の金属板の厚さが20µm前後であることが判明し、当時の技術力の高さを再認識する結果となりました。今後は、全13点の分析結果を解析し、学会発表や論文等で随時成果を報告する予定です。

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