創薬研究に貢献する分析機器「BioStation CT for MPS」を開発しました

2020年04月06日

工学部機械工学科の木村啓志准教授(マイクロ・ナノ研究開発センター)が株式会社ニコンなどと共同で、創薬研究に貢献する新たな分析機器「BioStation CT for MPS」を開発。3月18日に湘南キャンパスにあるイメージング研究開発センターで、機器の利用説明会を開催しました。

この分析機器は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が展開している「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発)」の一環として開発されたものです。同事業は、マイクロ流体デバイス技術を活用して、これまでにない画期的な細胞培養モデル(Microphysiological system: MPS)を構築し、動物実験に頼らずに医薬候補品の安全性や効果などを評価できる新たな創薬基盤の開発を目指しています。全国の大学・企業からなる16チームで構成されており、木村准教授は「創薬における高次in vitro評価系としてのKidney-on-a-chipの開発」の研究開発代表者を務めています。

木村准教授の研究室では、3年前から腎臓内科医の南学正臣教授(東京大学)や、藤井輝夫教授(同)、ニコンなどと共同で、腎臓の機能を再現するモデルデバイスの開発と評価方法の構築に向けた研究に取り組んでいます。体に不要な物質を排出する尿を作る重要な働きを持っている腎臓の中でも、血液から不要物を取り除いて原尿を作る糸球体と、原尿内の水分と栄養素を再吸収する尿細管の機能を人工的に再現したマイクロ流体デバイスを開発。ニコンが販売している細胞培養観察装置「BioStation CT」をベースにデバイス内で起きるさまざまな現象を24時間自動で観察できる観察システムを構築しました。これによって、さまざまな条件下で、生体内の血流を模した流体による機械的な刺激を細胞に与えたときの変化や医薬候補品投与前後の変化を細胞レベルで経時的に追うことができるようになりました。

木村准教授は、「今回開発したシステムには、特殊な観察機能が搭載されているので、細胞を染色処理することなく、細胞状態の詳細な情報を得ることができます。細胞機能を詳細に観察する際、通常は蛍光試薬が使われていますが、少なからず細胞に悪影響を与える可能性があると考えらえています。試薬を使わずに観察できれば、より正確かつ、コストを抑えた観察も可能になります。私たちが開発中のマイクロ流体デバイスと組み合わせることによって、さまざまな物質の挙動を生体に近い状態で観察でき、まだまだ不明なメカニズムの多い腎機能のさらなる解明をはじめ、各細胞の機能分析、薬の効果の正確な検証にも役立つと期待しています。今後は学生たちにも積極的に活用してもらい、多くの人と協力して機器や観察手法の改善を進め、将来の商品化につなげたい」と話しています。

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