東京大学医学部と本学医学部による「腎臓全体の交感神経系の3次元構造可視化」に関する共同研究の成果が国際学術誌『Kidney International』(オンライン版)に掲載されました

2019年06月14日

東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科の長谷川頌医師らと本学医学部付属病院腎内分泌代謝内科(医学部医学科腎・代謝内科学)の和田健彦准教授、駒場大峰准教授、深川雅史教授のグループによる「臓器透明化(CUBIC)を用いて腎臓全体の交感神経系の3次元構造を可視化し、その機能障害を解析」と題した研究成果が、4月9日に国際学術誌『Kidney International』(オンライン版)に掲載されました。

腎臓は血液をろ過して尿を生成することで老廃物を排出し、体液量やイオンバランス、血圧などを一定に保つ働きをしています。交感神経は腎臓の複雑な動きを制御するために重要な働きを担っていると考えられていますが、その全体像やメカニズムは明らかになっていませんでした。長谷川医師らは、東京大学大学院医学系研究科システムズ薬理学の洲﨑悦生講師らが開発した臓器透明化手法「CUBIC」を用いてマウスの腎臓を透明化し、3次元免疫染色を組み合わせることで、腎臓全体の交感神経の構造を把握することに成功。交感神経が動脈の周囲を取り巻くように走行して動脈の収縮に関連していることや、腎臓の虚血再灌流障害(腎臓の血流の急激な低下によってひきおこされる急性腎障害)後に交感神経の機能異常が長期間にわたって続くことなどを明らかにしました。

前職である東京大学医学部附属病院在職中から長谷川医師と親交があり、本共同研究のきっかけをつくった和田准教授は、駒場准教授らとともに急性腎障害を持つモデルマウスの作製や採取などの部分に関与。「研究に協力できてうれしく思っています」と話します。「これまで断片的にしか把握できなかった腎臓全体を3次元的に可視化し、交感神経や血管系をはじめ、腎臓を構築しているさまざまな器官の構造やネットワーク、変化の過程を容易に観察できるようになりました。交感神経に着目することで、臨床で課題となっている、急性腎障害から慢性腎障害への移行のメカニズムの一つを示すことができたことも大きな成果だと思います。ファンクショナルMRI(磁気共鳴機能画像法)や病理組織の画像と組み合わせるなど、本成果を応用しながら腎障害のメカニズムを解明し、原因の特定や治療法の開発につなげたい」と意欲を見せています。

※『Kidney International』に掲載された記事はこちらからご覧ください。
https://www.kidney-international.org/article/S0085-2538(19)30230-3/

【発表者】
長谷川 頌(東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 医師
/東京大学大学院医学系研究科 内科学専攻 医学博士課程4年
      /日本学術振興会 特別研究員)
田中 哲洋(東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 講師)
南学 正臣(東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 教授)
洲﨑 悦生(東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻 システムズ薬理学分野 講師
      /科学技術振興機構 さきがけ研究員)
上田 泰己(東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻 システムズ薬理学分野 教授
      /理化学研究所生命機能科学研究センター合成生物学研究チームリーダー
      /東京大学 ニューロインテリジェンス国際研究機構 主任研究者)
駒場 大峰(東海大学医学部 内科学系 腎内分泌代謝内科 准教授
/東海大学医学部 腎臓病総合病態解析講座 准教授
      /東海大学 総合医学研究所 所員)
和田 健彦(東海大学医学部 内科学系 腎内分泌代謝内科 准教授)
深川 雅史(東海大学医学部 内科学系 腎内分泌代謝内科 教授)

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