医学部付属病院がタイの生体工学技士制度の充実に向けた人財育成研修を開始しました

医学部付属病院では、タイにおける生体工学技士(Biomedical Engineer=BME)制度の充実に向けた人財育成に協力するため、同国ランシット大学生体工学部の卒業生らを対象とした独自の研修を9月から開始しました。この研修は、「日本の臨床工学技士制度を通じたタイ型生体工学技士制度の充実に向けた人財育成協力~ランシット国際病院建築計画に伴う診療機器導入の機会に併せて~」と題し、国立国際医療研究センター国際医療協力局の「医療技術等国際展開推進事業」の採択を受けて実施。本病院の医師や臨床工学技士、医療機器メーカーの技術者らが講師を担当し、本病院とランシット大学を拠点にそれぞれ5日間の講義や実習を行います。

医学部では、2015年度にタイ公衆衛生省と医療分野を担う人材育成に関する覚書を取り交わすなど、タイとの連携を推進しています。17年度と18年度にはランシット大学医用生体工学部の学生が本病院で研修し、その成果について大きな反響があったことも今回の研修につながりました。今年8月には、本事業の企画・運営メンバーである健康科学部の沓澤智子学部長や医学部医学科の木ノ上高章准教授(衛生学公衆衛生学)、本病院診療技術部臨床工学技術科の西原英輝科長補佐らがタイを訪問。公衆衛生省ヘルスサポート副局長やランシット大学総長らを表敬訪問して研修の概要を説明したほか、病院の視察や同大学医用生体工学科の教員らとの研修内容の打ち合わせを行いました。

9月13日から17日までランシット大学を拠点に行った研修は5名が受講。本病院診療技術部の川又郁夫部長がチーム医療や機器の管理について講演し、西原科長補佐らが人工心肺、血液透析などについて講義しました。また、協力企業の技術者らが登壇するシンポジウムも開き、医療関係者ら約130名が出席したほか、タイ赤十字の運営による150年の歴史を持つ病院「Queen Savang Vadhana Memorial Hospital」での実習も行いました。

木ノ上准教授は、「本学では世界保健機構(WHO)や独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携協力し、WHO加盟国における保健医療の中核を担うスタッフを育成する『21世紀保健指導者養成コース』を、1996年から22回にわたって実施してきました。こうしたノウハウを生かし、グローバル大学としてタイの生体工学技士制度の充実や人財育成に貢献できてうれしい」とコメント。西原科長補佐は、「それぞれの国の保健医療の歴史や伝統、BME制度の現状などを踏まえ、互いの発展のために学び合いたい」と話していました。なお、研修生は10月21日から医学部付属病院で実習に取り組み、11月からは別班が同様の研修に臨む計画です。

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