学生が津軽鉄道の仮想乗車に関する調査を実施しました

観光学部観光学科4年次生の森田浩一さんがこのほど、青森県・津軽鉄道の「仮想乗車」に関する調査を実施し、10月23日に同社の澤田長二郎社長に調査結果を報告しました。津軽鉄道では、新型コロナウイルス感染症の拡大により乗客数が減少したことを受け、4月28日から乗車した気分が味わえる動画をYouTubeにアップ。閲覧者に運賃分の寄付を募り、約4カ月で約250万円の寄付金が集まっています。森田さんは寄付者を対象に、インターネットのアンケートフォームを用いて調査しました。

関東の鉄道会社に勤め、現在は社会人学生として観光学部で学んでいる森田さんは、「コロナ禍で観光業界や鉄道業界が大きな影響を受けている中、関連したテーマで卒業論文を作成したいと考えていたときにネットでこの取り組みを見つけ、とても興味深く思い津軽鉄道の担当者に連絡しました。大学入学前は新潟県の観光列車で車掌を務めていたこともあり、観光と鉄道の関係性に興味があった」と振り返ります。アンケートには21件の有効回答があり、住んでいる地域や寄付金額、寄付の理由や仮想乗車の企画に対する反応などを調査。7割を占める首都圏在住の回答者からは、「厳しい経営環境の中でコロナが追い打ちをかけていると思い、少しでも役に立てればと思った」「観光列車の収益で地元の足を守っているという仕組みを知り、地元の利用者のために協力したい」「発想がユニークで寄付せずにはいられなかった」といった声が寄せられました。

森田さんは、「津軽鉄道は停車駅が少なく全線乗車しても運賃は1000円未満なのですが、回答者の半数が5000円以上寄付していることがわかりました。寄付は人間同士のかかわりが深いほど多くなるというデータがあるので、首都圏在住の人が旅行や帰省でこの鉄道に乗車した少ない機会にも、いい経験や思い出を提供してきたのだと思います」と考察。また、「鉄道は大勢の人を安全に乗せることを目的に作られたので、過疎化が進み利用者が少ない地域では、本来廃線になってもおかしくありません。一方で、近年では鉄道を軸とした都市開発が進んでいるほか、全国各地で観光列車が人気を集めるなど、文化や産業としての役割も担っています。今回の仮想乗車も、距離にとらわれない支援策としてコロナ禍で鉄道会社が利益を生み出す一つの新しい手法であり、地域と地域外の関係性を維持する可能性の一つになり得ると感じました」と語っています。