田中教授が中国で開かれた国立公園と野外レクリエーション開発に関する国際会議で基調講演を行いました

観光学部観光学科の田中伸彦教授が、昨年12月12日から15日まで中国・上海体育学院で開かれた国立公園と野外レクリエーション開発に関する第1回国際会議に出席。キーノートスピーカーとして「Current State of Tourism and Recreation National Parks and Forest Area(国立公園と野外レクリエーションの現状と課題)」をテーマに基調講演を行いました。中国では昨年4月に国立公園局が設立され9カ所で実験的な国立公園の運営が開始されています。国立公園の設置は林業や違法な鉱業、汚染物質の放出、野生生物の密猟といった人為的被害から脆弱な生態系を保護することを目的としていますが、中国においては自然公園や保護区域は観光地としてみなされ、長年にわたって観光部局が管理してきました。この国際会議は、中国の研究者らを対象に、各国における国立公園における観光レクリエーション管理の現状を紹介するとともに、中国国立公園局の国際化につなげることなどを目的に、上海体育学院が主催したものです。

会議には国立公園を世界で初めて設立したアメリカをはじめ、韓国やブラジルなどから多数の研究者が参加。各国の現状を披露するとともに、中国における国立公園管理のありかたについて意見を交わしました。田中教授は基調講演で、日本における国立公園管理の歴史や自然環境が地域社会の中に根付いている現状などを紹介。アメリカや中国では国の土地として管理されているのに対して、日本では民間の土地も国立公園の一部として管理されているといった事情について触れるとともに、日本のインバウンド観光政策を解説し、「日本国内における自然の多様性は、北は北海道の流氷から南は沖縄のサンゴ礁まで、また深海から高山まで世界的にも類を見ない密度でコンパクトに広がっています。その自然の要素を誰にどのように見せるのか、しっかりマーケティングしたうえで保全管理していく必要があり、観光立国を目指すうえで課題となっています」と語りました。

田中教授は、「中国で初めて開かれた国立公園と野外レクリエーションに関する会議に、日本から唯一基調講演者として招待されて光栄に感じています。講演終了後にも熱心な質問が相次ぐなど中国の研究者、学生たちの熱意の高さが印象に残りました。中国は現状ではまだ外国人が観光で自然地域まで気軽に行ける国という印象ではありませんが、ユニークな生態系や風景が多くあり、このままでは日本はマーケティングの面で中国に遅れを取ることになるのではないかとも感じました。今後も研究者としてさまざまな機会を通してインバウンド観光における自然地域の管理(デスティネーションマネジメント)の重要性を訴えていきたい」と話しています。

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