第102回東京箱根間往復大学駅伝競走
東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は、東京・大手町から箱根・芦ノ湖間の往路5区間(107.5Km)、復路5区間(109.6Km)の合計10区間(217.1Km)で競う、学生長距離界最大の駅伝競走です。参加チームは前回大会でシード権を獲得した上位10校と、予選会を通過した10校、および関東学生連合を加えた合計21チームとなります。大学三大駅伝と称される「出雲駅伝」「全日本大学駅伝」と比較すると、その最大の特長は1区間あたり20㎞を超える距離の長さと、山上り・山下りと形容される5区と6区の特殊区間です。特殊区間を含む長丁場の10区間を担う選手層の厚さとチームの総合力が問われる大会となっています。
サポート環境を生かした万全の準備と勝負どころを見据えた配置で2年ぶりの箱根路へ
両角速 駅伝監督(スポーツプロモーションセンター教授)
2年ぶりの箱根駅伝に向けてどのような準備を進めてきましたか?

昨年度の箱根駅伝予選会では、故障などの影響でメンバーをそろえることができず、さらに当日は予想以上の気温上昇により熱中症となる選手も出るなど、本戦出場を逃す結果となりました。この反省を生かし、今年度は本学医学部から本格的なサポートを受けています。血液検査をはじめ、練習や食事のタイミングに合わせて血圧、脈拍、血糖値など選手のバイタルを細かく測定し、エネルギー摂取状況なども確認しています。ドクターと直接やり取りできる体制が整ったことで、選手がよりよいコンディションで本番を迎えられるようになりました。さらに、大学当局の手厚い支援もあり、今年3月には湘南キャンパスの陸上競技場に国内初となる電子ペーサーを常設できました。一定のペースを視覚的に把握できることで、記録向上を目指す上で大きな助けとなる装置です。また、7月にはスポーツ医科学研究所内に人工環境制御室(暑熱・常圧低酸素室)「H3-Lab.」も完成しました。通常とは異なる環境でのトレーニングが可能となり、選手たちは積極的に活用しています。
箱根駅伝での目標とレースプランをお聞かせください
目標は総合10位以内、シード権獲得を掲げています。今回は大きなけが人もなく16名のエントリー選手をそろえることができました。予選会通過から全日本大学駅伝対校選手権をはじめとした各レースの流れも想定した通りに進んでおり、選手たちがそれぞれ役割を果たしてくれています。本戦では、基本的に調子がよく、力のある選手を往路に入れていくことになります。今年度は上位進出を狙っていることもあり、特に復路後半の9区、10区も重視しています。デッドヒートになりやすい区間であるため、勝負強く粘り切れる選手を起用したいと考えています。また、箱根駅伝最大の特徴である山の5区、6区については、正直に言って非常に展開を読みづらい面もありながら、最も差がつきやすい区間でもあると捉えています。ここには本当に力のある選手を配置しなければなりません。しっかりと対策して準備もしているので、この区間で10位前後を確保できる走りができれば、目標達成に近づけると考えています。
応援している皆さんへのメッセージをお願いします
今年度のチームの主力である4年次生たちは力のある選手がそろっていながら、これまでは本番にうまくピークを合わせ切れない部分があり、結果を出せずにきてしまいました。この対策として、全日本大学駅伝が終わった11月中旬以降は試合よりも調整を重視し、計4回の合宿を行ってきました。下級生たちも含めて、そこで積み上げてきたものが本戦で成果として出てくれればと思います。チームを応援していただいている皆さまからはこの1年、さまざまな場所で「頑張れ」と声をかけていただき、私や選手たちにとって本当に励みになってきました。箱根駅伝でもよりいっそうのご声援をよろしくお願いします。
支えてくれた人のために 精神力でつなぐシード権へのラストラン
草刈恭弓(体育学部競技スポーツ学科4年次生・付属相模高校出身)
今年度はどのような思いで練習に臨んでいましたか?
昨年12月下旬に右のふくらはぎをけがして約半年間は走れず、このけがは治るのだろうかという不安を感じながらスタートを切りました。4年次生になってからもビジョンが見えず、目標が立てられないほどでした。7月下旬からようやく本格的な練習に復帰できて、夏合宿ではスタミナ強化をテーマに1日で最長約45kmを走り込みました。足が壊れるかもと心配もしましたが、箱根駅伝のメンバーに入るためには頑張るしかありませんでした。9月の東海大学長距離競技会では思った以上に体が動き、11月の上尾シティハーフマラソン大会では1時間2分49秒で自己ベストを更新できて、順調に調子が上がってきているのを感じました。2つの大会を終えて、「箱根駅伝のエントリーメンバーにも選んでもらえる可能性がある」と感じ、徐々に自信もついてきました。

大学4年間でどんな成長がありましたか?
一番成長したのは精神力だと思います。競技人生で最も大きなけがをして、競技ができる環境が当たり前ではないことを改めて痛感しました。自分を支えてくれる人への感謝をより強く感じるようになり、人として成長できたことが競技に向かう姿勢にもつながっています。
箱根駅伝本戦への意気込みを聞かせてください
高校までトラック種目を中心にレースに出ていましたが、大学に入学してからは気づけば箱根駅伝本戦出場が大きな目標になっていました。本戦ではシード権争いが激化する10区を走りたい。プレッシャーがかかる場面こそ、自分の強みである精神力を発揮できると思います。体力的につらくなっても、“ゴールの先に支えてくれた仲間がいる”と気持ちで粘れるのは自分の武器。笑顔でゴールして、シード権をチームに残して恩返しをしたいです。
上尾ハーフで得た21kmの確信 4年次生ランナーが箱根で果たす責任
鈴木天智(体育学部競技スポーツ学科4年次生・一関学院高校出身)
今年度はどんな目標を持って取り組んできましたか?
昨年度の箱根駅伝予選会では、自分を含めて多くのメンバーがけがをしている状況で敗退に終わり、チームには申し訳ない思いでいっぱいでした。今年度は、「箱根駅伝でシード権を獲得して、後輩たちにいい結果を残したい」という目標を立てて練習に励んできました。

どのような練習に力を入れてきましたか?
序盤から速いペースで走れる強みがある一方で、課題は坂での走力。夏合宿での登り坂練習では、1年時からチーム内でほぼ最下位でした。少しでも速くなりたいと自主練習ではジョギングの距離を伸ばし、他の仲間の練習にもついていって走り込みました。今年11月の上尾シティハーフマラソン大会は、ベストコンディションではありませんでしたが、自己ベストの1時間2分28秒を出し、後半10kmは余裕を持って走り切ることができました。欲を言えば1時間1分台を切りたかったのですが、21kmを走り切れる自信がついたレースになりました。箱根駅伝は最大で1区間約23kmなので、あと2km伸びても走り切れるという手応えも感じています。
箱根駅伝本戦への意気込みを教えてください
2年時に出場した箱根駅伝では、緊張から体も表情も固くなり本来の走りができませんでした。この経験を糧にして、今年度は楽しんで走りたい。今まではコースの細かいアップダウンにも苦戦していましたが、トレーニングの成果を発揮して周りに負けないスピードで走ります。希望区間は7区から10区の後半区間。どの区間を任されても上位で走れる自信もあります。最後の箱根駅伝では区間5位以内に入り、自分の走りでシード権獲得につなげたい。
土台づくりを徹底し 15km以降の粘りにつなげる
竹割真選手(文化社会学部広報メディア学科4年次生・九州学院高校出身)
昨年度は箱根駅伝予選会で敗れ、本戦出場がかないませんでした
本戦では5区と6区の走路員として沿道に立ちました。背中を向けていたのでレースをじっくり観たわけではありませんが、知り合いの選手や同じ熊本県出身の後輩たちが走っていく姿を見るのは悔しかった。前回の予選会はけがで出走できず、以降は体のケアやレース前の入念な準備を心がけてきました。今年度の予選会は通過が目標だったので、自分も予定通りの走りができてよかったと感じています。

予選会から2週間後には全日本大学駅伝対校選手権大会にも出場しました
全日本の当日までは状態が上がってきているように感じていましたが、実際は疲労が残っていて、8区区間15位と思ったような走りはできませんでした。大学駅伝界はスピード化が進んでいて、特に序盤に突っ込んで入る必要があるので、対応できるように練習も工夫して取り組んでいます。夏合宿では土台づくりをメインに、距離を踏もうと練習してきました。1日20kmが目安でしたがメニュー以上の距離を走る日もありましたし、アップダウンがあるコースを選ぶなど質も重視しています。まだ成果を実感するところまでは至っていませんが、地道な努力は15km以降の粘りに生きると信じています。
箱根駅伝本戦に向けた思いを教えてください
1年次生のときは緊張して浮足立ってしまい、7区区間18位と悔しい結果に終わりました。9区を任された2年次生のときは、15km地点まではいい走りができていたのですが、区間11位でした。最後の箱根路は9区でリベンジして、ラスト8kmをしっかり粘りたいという思いがあります。4年間、駅伝では個人としてもチームとしてもいい思い出がありません。最後は4年間で一番の走りをして、後輩たちにシード権を残したい。家族はいつも応援してくれていて、実家に帰ると美容師の父が髪を切ってくれます。最後の箱根路も応援に来てくれると思うので、感謝を伝える走りを見せたい。
2年ぶりの自己ベスト更新 チームの精神的支柱に
中井陸人選手(文学部歴史学科日本史専攻4年次生・倉敷高校出身)
ラストイヤーの1年、ここまでのシーズンを振り返っていかがですか?
今年の夏合宿明けは体のコンディションがよく、4年間でも一番いい状態に仕上げられました。ただ、大会にはなかなか出場できず、思うような成果を挙げられない時期が続きました。箱根駅伝予選会も出場できず、昨年度のリベンジを目標にしていたので、正直なところもどかしい気持ちでした。それでも、その後に出場した1万mの記録会では、2年ぶりに自己ベストが更新できました。確実に調子が上がっているという手応えを得られ、「これまで積み重ねてきたことは間違っていなかった」と感じています。
チームではどのような役割を果たそうと考えていますか?
エントリーメンバーに選ばれたときは「ようやくスタートラインに立てた」という気持ちでしたが、出場できないメンバーが決まった瞬間でもあると気づき、「箱根を走れない同期の分まで頑張ろう」と、改めて決意しました。競技面では主将の花岡寿哉や兵藤ジュダがチームを引っ張ってくれているので、自分は雰囲気づくりをはじめ、競技以外の部分でチームを支える役割を担いたいと考えています。これまでも学年を問わず積極的にコミュニケーションを取るように心がけてきました。エントリーの有無に関わらず、チームが一丸となって本戦に臨めるよう最後まで戦っていきます。

本戦での目標を教えてください
チームの目標であるシード権獲得は、4年生全員で話し合って決めました。夢見ていた箱根駅伝の舞台に立ち、自分の走りでチームに貢献したい。高校から7年間陸上競技を続けてきましたが、家族をはじめ多くの方々の支えがなければ今の自分はありません。皆さんに向けて恩返しの走りができるよう頑張ります。
「0からの挑戦」――最後は笑って大学駅伝を終えたい
花岡寿哉選手(情報理工学部情報科学科4年次生・上田西高校出身)
前回の箱根駅伝はチームとしての出場がかないませんでした
予選会で落ちてしまった当初は、これが現実だとは受け入れられませんでした。本戦当日はほとんどの部員が補助員として現地に行っていたのですが、自分は都道府県対抗男子駅伝競走大会に出場する可能性があったので寮で待機していました。最初はテレビで見ていましたが、悔しくて途中で見るのを止めて走りに行きました。「来年は勝つ」と思いながら、体が勝手にいつもより速いペースを刻んでいて、練習と同じ30kmぐらい走りました。

駅伝主将を任され、どのようにチームを立て直したのでしょうか?
もともと主将になるつもりはなかったのですが、予選会に落ちた後に同級生の皆から「花岡しかいない」と言われ、エースである自分が変わらなければチームも変わらないという思いから引き受けました。昨年度は本来エントリーされるべき選手がけがで走れなかったという反省があったので、コンディションの確認を徹底し、出場するレースも絞って狙った大会で結果を残せるように意識して練習してきました。応援されるチームを目標に、私生活から周りへの感謝を忘れず、当たり前のことを当たり前にできるように心がけています。両角速駅伝監督(スポーツプロモーションセンター教授)からは、今年の予選会前に「お前のチームだから」と声をかけてもらい、任されている喜びを感じつつ、改めて自分が引っ張っていかないといけないと気を引き締めました。
箱根駅伝への意気込みを聞かせてください
今いる多くの選手が2019年に箱根駅伝で優勝した強い東海大学を見て、東海大なら三大駅伝に出られると思って入学してきました。しかし前回の箱根駅伝は出場を逃してしまい、過去の栄光をいったんゼロにして、新しい東海大をつくろうと「0からの挑戦」をスローガンに掲げて1年間取り組んできました。これまでずっと悔しい思いをしてきたので、シード権を取って、最後はみんなで笑って大学駅伝を終えたいですね。
泣いても笑っても最後の学生駅伝 区間賞でチームに勢いをつける
兵藤ジュダ選手(体育学部競技スポーツ学科4年次生・付属静岡翔洋高校出身)
この1年はどのような練習に取り組んできましたか?
今年度は課題としていたスタミナ強化に重点を置き、指定された練習量に加えて2~3㎞多く走るなど、自分なりに工夫を重ねてきました。粘り強く練習を続けられたことが、秋以降の走りにつながっていると感じています。箱根駅伝予選会では、暑さの影響もあり17㎞付近で一気に脚が重くなり、ペースを落としてしまいました。しかし、その後も練習を継続してきたことで、最近は苦手意識のあった長距離のポイント練習にも余裕を持って取り組めるようになっています。全日本大学駅伝対校選手権大会が終わった後は少し休養を取りましたが、その後は短期合宿を重ね、質の高い練習が積めています。本番まで残り1カ月の時点では7割ほどまで調子を整えられているので、万全の状態に仕上げたいと考えています。
ご自身の強みを教えてください
自分の強みはスピードです。近年の大学駅伝は高速化が進んでいるため、余裕を持ってハイペースのレースを戦い抜けるような練習に取り組んできました。12月に入ってからは“練習で自信をつける”ことをテーマに走り込み、手応えも感じています。予選会や全日本大学駅伝は自分としては不完全燃焼のレースでした。箱根駅伝では完全燃焼したいという思いが強いですね。

箱根駅伝に向けて、意気込みを聞かせてください
大会にかける思いは特別なものがあります。2年時に出場した経験があるので、当日の雰囲気やコースを具体的にイメージできることは自分の強みです。昨年度は出場権を逃し、本当に悔しい思いをしました。今回は往路を任されることになると思うので、区間賞を獲得してチームに勢いをもたらし、その流れでシード権獲得につなげられたらうれしい。泣いても笑ってもこれが学生最後の駅伝。悔いのない走りをしたいと思います。
悔しさを力に変え、箱根路で攻めの走りを
ロホマン シュモン 選手(体育学部生涯スポーツ学科4年次生・川崎市立橘高校出身)
まずは箱根駅伝への思いと現在の状態を教えてください
私たちの学年は入学時から「4年次生になった最後の箱根駅伝で総合優勝を目指そう」と取り組んできましたが、個人としては2年次生の時の箱根駅伝で10区区間20位となってしまうなど、大学4年間を通して本当に悔しい思いをたくさんしてきました。その分、今回はその悔しさをすべて晴らしたいという気持ちで、強い覚悟を持って日々のトレーニングに取り組んでいます。状態は非常によく、練習でも手応えを感じています。「これはいける」という自信を持って本番に臨めそうです。

この1年間はどのようにトレーニングを重ねてきたのでしょうか?
昨年度の箱根予選会では熱中症のため途中リタイアとなってチームに迷惑をかけてしまいました。本戦では走路員を務める立場となり、他大学の選手が走っている姿を見て、「本来なら自分もここにいなければいけないのに、なぜこうなってしまったのか」と悔しさを強く感じました。ただ、その思いが「1年後は必ず自分が走る」という強いモチベーションに変わりました。今年度に入ってからは、けがや体調不良が一切なく、夏合宿のメニューをすべてこなし、人工環境制御室「H3-Lab.」を活用した暑さ対策にも取り組んできました。日常生活でも水分補給を強く意識し、箱根本番を想定した工夫を重ねてきました。
今大会の目標と意気込みを聞かせてください
10区でリベンジしたという思いもありますが、チームの作戦もあるので自分はおそらく8区あたりでシード権を確保していく走りが役割になるのではないかと考えています。今回こそは、序盤から「この選手ならやってくれる」と思ってもらえるような走りをしたい。これまでの自分は全体を通してイーブンペースで刻むタイプでしたが、今回は攻めるしかありません。序盤から思い切って入って粘り切り、区間上位、できれば5位以内を狙いたい。チームの目標であるシード権獲得に貢献できる走りを見せます。
全日本大学駅伝2区で快走 箱根路で見せる「4年次生への感謝」
永本脩選手(体育学部競技スポーツ学科3年次生・九州学院高校出身)
今シーズンはどのような思いでスタートを切りましたか?
昨年度はチームとして悔しい結果に終わったこともあり、新チーム発足当初はどこか暗い雰囲気もあるように感じていました。それでも駅伝主将の花岡寿哉さん(情報理工学部4年次生)を筆頭に、先輩たちが個人のレースで結果を残したり、チーム全体を盛り上げてくれたりして、「またここから頑張ろう」とチームが一つになりました。だからこそ、個人の目標として「4年次生に笑顔で卒業してもらう」を掲げました。
駅伝シーズンを左右する夏合宿についての手応えを教えてください
これまで故障者が多く、どうしてもチーム全体で力をつけることができませんでした。今年度は3年次生の学年ミーティングで、ストレッチの時間を増やそうと決めたところ、その取り組みがチーム全体に広がり、体のケアに対する意識が高まりました。個人としても、いい雰囲気で走り込めたので、充実した夏になったと思います。
箱根駅伝予選会と全日本大学駅伝対校選手権大会を振り返って感想を教えてください
箱根駅伝予選会では、ハーフマラソンの自己記録を1分以上縮めることができました。チームとしても無事に本戦出場を決められてホッとしました。昨年度の悔しさもあったので、まずは大きな一歩を踏み出せたと思います。全日本大学駅伝は初めての学生三大駅伝出場でしたが、前半から積極的な走りができ、チームの順位も大きく上げられました。自信になった一方で、チームとして目標だったシード権獲得は逃したので、箱根駅伝は笑って終わるレースにしたいです。

箱根駅伝ではどのような走りが目標ですか?
どの区間でも走る準備はできています。1年次生のときは11番目の選手で箱根駅伝には出場できませんでした。その悔しさは今も持っていますし、出られるからにはどの区間でもチャレンジ精神を持って走り抜きます。どのレースでもワクワクしながらスタートラインに立てるタイプなので、箱根駅伝も楽しみながらタスキを手にしたい。お世話になった4年次生のためはもちろん、最上級生となる来年度に向けて、必ずシード権を獲得します。
遠回りでも、箱根へ。成長を積み重ねた1年
藤田悠選手(文学部歴史学科日本史専攻3年次生・静岡県立韮山高校出身)
箱根駅伝を目指したきっかけを教えてください
箱根駅伝は小さいころからテレビで見ていて、陸上を始めて以来ずっと憧れの舞台でした。また、高校の先輩で、明治大学から現在は実業団の富士通で活躍されている小澤大輝選手と一緒に練習した経験があり、それが自分も箱根を目指す大きなきっかけになりました。ただ、スポーツ推薦などで進学できる選手ではなかったので東海大学へは一般受験で進学しました。持ちタイムもなかったので陸上競技部へも最初は仮入部からのスタート。タイムを伸ばして1年次の11月に正式に入部できました。

この1年間を振り返って、ご自身ではどのようなシーズンだったと感じていますか?
チームとしても昨年度は箱根駅伝に出場できず、自分もけがをしていたこともあって、悔しさの多いスタートでした。ただ、夏合宿以降に距離をしっかり踏めるようになってからは、自分に合った練習ができるようになりました。箱根駅伝の予選会ではメンバーに選ばれませんでしたが、その後に控えていた11月の上尾シティハーフマラソン大会を、箱根エントリーに向けた最後のアピールの場と捉えていました。そこで63分23秒を記録し、目標にしていた以上の結果を出すことができました。そうした点では、成長を実感できた1年だったと思います。
箱根駅伝での意気込みや将来に向けた目標を聞かせてください
エントリーされた16人の中で、自分は実績も実力もまだまだ不十分だと感じています。まずは出走に向けて、残り1カ月でどれだけアピールできるかが大切だと思っています。自分は上りが得意なので、5区や終盤に強烈な上り坂がくる8区を意識しながら、その強みを練習の中で示していきたいと考えています。箱根を走れれば、自分のように最初は決して目立つ存在ではなかった選手でも、遠回りしてでも目標に向かって挑戦できることを示せます。高校や大学で伸び悩んでいる選手たちに勇気を与えられるような存在になりたいですね。
「休む勇気」を学んだ1年 万全のコンディションで大一番へ
南坂柚汰選手(体育学部競技スポーツ学科3年次生・倉敷高校出身)
この1年で自身が成長したと感じている点はどこでしょうか?
高校時代まで治癒まで長期間の治療を要する故障はなかったので、1、2年次生のときにけがに苦しんだ際は、復帰までの道筋がなかなか描けませんでした。そんな中、今年度に入ってアドバイザーとしてチームに携わる荒井七海さん(体育学部2016年度卒・Honda)や、一緒に練習もする村澤明伸さん(大学院体育学研究科2年次生・SGホールディングス)から「休む」ことの大切さを教わりました。それまでは「休む=悪」と勝手なイメージを持っていて、休みたいとも思っていませんでした。ただ、勇気をもって適度な休みを取ると、回復も早まり、調子も維持しやすくなりました。全日本大学駅伝対校選手権大会を終えてからも、すごくいい調子をキープしています。ただ、箱根駅伝を数週間後に控えた今、絶好調の状態がきてしまうと本番で力を出し切れない恐れがあるので、意識的にコンディションをコントロールして、いい緊張感を保てています。

今年度のチームはどのような特徴がありますか?
元々ポテンシャルの高い選手が数多くいるチームです。しかし、これまでは故障などでなかなか足並みがそろわない場面もありました。今年度は両角駅伝監督や西出ヘッドコーチの指導の下で高強度の練習を減らし、中強度のメニューを継続する点に重きを置いたので、練習のボリュームを確保しながら故障者が減ったと感じています。箱根駅伝予選会もチームとして余裕を持って終えられて、力が上がっていると感じています。
箱根駅伝での目標を教えてください
個人としての結果を求めることも大切ですが、まずはチームの目標達成に向けて、自分ができることをしようとシンプルに考えています。今大会はエントリー16選手中7人が4年次生のチーム。今回シード権を獲得できなければ、来年度は経験の少ないメンバーで予選会に臨むことになります。そうなると、春のトラックシーズンから予選会に向けたスタミナづくりが必要となり、出場したいレースに出られないケースも出てくるかもしれません。そのような状況を回避するためにも、必ずシード権を獲得し、チームにいい流れをつくります。
自慢のスピードで目指すは山下りの6区 チームに勢いをもたらす走りを誓う
矢口陽太選手(体育学部競技スポーツ学科3年次生・厚木東高校出身)
今年度はどのような目標を立ててスタートを切りましたか?
昨年度に味わった悔しさを晴らすため、まずはチームとしても個人としても「箱根駅伝に出場したい」と強い思いで新シーズンを迎えました。日ごろは1500mを主戦場としているので、スピードには自信があります。自分がチームに最も貢献できるのは6区だろうと狙いを絞って、常に意識しながら練習を重ねています。

春から夏にかけてはどのようなトレーニングをしてきましたか?
東海大学では、実業団選手を含めて1500mの日本トップクラスの選手が数多く練習に励んでいて、恵まれた環境で競技に臨めています。他の現役学生の活躍も刺激になっていて、自分を成長させられているとも思います。今年度は、トラックシーズンを終えたタイミングで少し練習を離れる期間もありましたが、8月中旬からは順調に走り込めています。秋からは長い距離のロードレースにも出場を重ねる中で、スタミナへの不安はなくなりました。あとはコンディションをしっかり整え、当日を迎えることに集中します。
箱根駅伝ではどのような目標を持ってスタートラインに立ちますか?
昨年度から比べて自分が最も成長したポイントは積極的なレースができるようになったことです。前半から恐れることなく前の集団についていき、粘り切る走りができるようになりました。これまで積み重ねてきた練習が間違っていなかったと、自信を持てるようにもなっています。箱根駅伝では、自分がタスキを手にしたとき、シード権外だった場合には必ず10位以内に押し上げます。チームがいい流れでレースを進めているときには、その勢いをさらに加速させるような走りをしたい。とにかく前を追って、一つでも上の順位でタスキをつなぎます。
箱根V観戦し進路を変更 憧れの箱根路「楽しんで走りたい」
岩根正悟選手(体育学部競技スポーツ学科2年次生・九州学院高校出身)
箱根駅伝のエントリーメンバーに選ばれた感想を聞かせてください
まさか2年次生からメンバー入りできるとは思っていなかったので、最後まで諦めずに走ってきてよかったです。熊本県の菊池市立旭志中学校時代に所属していた陸上クラブの監督が箱根駅伝の2区も走った東海大学OBの松田英司さんで、1年生の時に監督に連れられて箱根駅伝を現地で観戦しました。それが、東海大が初優勝したレースでした。それまで「箱根駅伝=青山学院大学」というイメージで、「走るなら青学で」と思っていたのですが、その時に見た東海大の選手たちが本当にかっこよくて。松田監督の思いを受け継ぎたいという気持ちもあって東海大に進学しました。先日のミーティングでエントリーメンバーが発表されたときは、心の中でガッツポーズしました。
今年度はどんな練習をしてきましたか?
1月に故障してしまい、練習に復帰できたのは5~6月ごろでした。4年次生の草刈恭弓さんも同時期にけがをしていたので、この間は2人で「一緒に頑張ろう」と声をかけ合って補強トレーニングに励んできました。草刈さんとは8月から寮でも同部屋なので、一緒にメンバーに入れて本当にうれしく思っています。夏合宿から本格的に練習に復帰して、もうけがはしたくないという思いもあったので、ストレッチや体のケアを徹底してきました。ゆっくりとしたペースでしっかり距離を踏み、持久力の貯金をつくるイメージで練習してきました。
箱根駅伝本戦への思いを聞かせてください
エントリーメンバー16名に入るのが今年の大きな目標だったので、達成できて高いモチベーションで練習に励めています。最初は粘って、ラストは持ち味のスピードを生かしてスパートするのが理想の展開。家族も応援しに来てくれると思うので、その前で笑顔を見せたいですね。憧れの箱根駅伝、楽しんで走りたいと思います。

就職を考えた時期も 両角監督との出会いで目指した箱根路
中野純平(体育学部競技スポーツ学科2年次生・清峰高校出身)
進学先に東海大学を選んだ理由と、大学入学後の成長を聞かせてください
清峰高時代は3年時の高校総合体育大会県予選で競技を引退し、卒業後は就職しようと考えていたところ、両角速駅伝監督(スポーツプロモーションセンター教授)にスカウトしていただきました。高校にも足を運んでくれて、「有名選手を指導・輩出してきた監督が指揮するチームで競技を続けたい」と、家族の後押しもあって進学を決めました。また、進学決定と同時に箱根駅伝への出場を目指すようにもなりました。大学でのハードな練習をこなし、2年間で1500mのタイムを8秒、5000mを39秒、1万mを2分10秒ほど縮めることができました。けがをせず、継続して練習を重ねていることが成長につながっていると思います。

今年度はどんな目標を持って取り組んできましたか?
5月の全日本大学駅伝対校選手権大会関東学生陸上競技連盟推薦校選考会、10月の箱根駅伝予選会、11月の全日本大学駅伝本戦の3大会を特に重要なレースとして位置づけてきました。特に初めて出場した全日本大学駅伝では4区を走りましたが、前を走っていた青山学院大学と早稲田大学の選手に追いつこうと、序盤からペースを上げすぎてしまいました。中盤では、後半を意識するあまりに減速してしまい、悔しい結果になりました。箱根駅伝本戦では安定したペースで走りたい。
夏のトレーニングではどのようなポイントに重点を置きましたか?
実業団の合宿にも参加しましたが、練習中のペースがとても速く、安定していて、強さを肌で感じました。その中で、「一番大事なのはけがをしないこと」と言われたのが印象に残っています。合宿を通して体力面だけでなく、脚づくりの部分でも成長できたと感じています。しっかり土台をつくれたことは、駅伝シーズンにつながっています。
箱根駅伝本戦に向けた意気込みを教えてください
どの区間でも走る準備はできています。区間順位1ケタで走り、チームが目標とするシード権獲得に貢献したい。地元・長崎県から家族も応援に来てくれる予定なので、これまで応援・指導してくれた方々に感動してもらえるような走りを見せます。
箱根で走ることが最大の目標 持ち味の安定感でチームに貢献
平井璃空選手(体育学部競技スポーツ学科2年次生・拓殖大学第一高校出身)
現在のコンディションはいかがですか?
中学1年生から陸上競技を続けてきましたが、競技人生を振り返ってみても、今がいちばん安定したコンディションでいられています。箱根駅伝予選会や直近の記録会でも安定していいタイムを出せています。また、練習面でも大きな浮き沈みが少なく、日々落ち着いて取り組めていることが結果につながっています。本戦に向けて、今後もこの調子を維持していきたいですね。

エントリーメンバーに選出されたときの気持ちを教えてください
箱根駅伝を走ることは、自分にとって最大の目標。まずはエントリーメンバーに選ばれて率直にうれしい気持ちでした。ただ、本戦でのシード権獲得がチームの目標なので、そこで結果を出したときに本当の意味で喜べるのだと思います。他大学の選手を圧倒するようなスピードがあるわけではありませんが、安定した走りが自分の持ち味であり、チームから求められている役割。自分が出走する機会があれば復路だと思うので、往路でつくられた流れをしっかりと受け継ぎ、シード権獲得につながる走りで貢献したい。
本戦に向け、チームの状態はいかがでしょうか?
昨年度は惜しくも出場権を逃してしまったため、私は箱根駅伝の経験がなく、その空気感や厳しさはまだ分かりません。それでも、今のチームは雰囲気がとてもよく、一人ひとりの意識も高い。「これがシード権を獲得するチームなのだろう」と感じさせてくれる空気があります。そんなチームを支えている一人が、4年生の中井陸人さんです。ムードメーカーとして常にチームを盛り上げてくれて、下級生のことも気にかけてくれる頼れる先輩。また、同期の中野純平とも互いに切磋琢磨しながら、レースでチームによい流れを持ち込める存在になれるよう、共に成長していきたいと考えています。
初めてづくしの1年で成長 ありのままの自分で挑む
水野夢大選手(体育学部競技スポーツ学科2年次生・九州学院高校)
けがから復活した今年度はどのように過ごしてきましたか?
昨年度の6月にけがをして12月まで走れなかったので、バイクをこいだり、低酸素室を積極的に利用したり、持久力を落とさないための練習を積んできました。復帰後はけがの予防を徹底し、ここまで順調に練習を消化できていて、体も仕上がってきています。今年5月の全日本大学駅伝対校選手権大会関東学生連盟推薦校選考会がチームを代表して走る初めてのレースで、独特の緊張感やこれまでにない重圧の中でも最低限の走りができたことは一つの収穫でした。持ちタイムはまだまだですが、チーム内だけでなく、他大学の選手と自分を比較できるところまで成長できたのではないかと実感しています。

今年度の夏合宿ではどのような練習を積みましたか?
またけがをしてしまうのではないかという不安もあったので、「これくらいの距離を踏んでもいいんだ」「練習強度はこれぐらいなら次につながる」と、一つひとつ確認しながら週2回のポイント練習と地道な基礎づくりに取り組みました。欲を言えばもっと距離を踏みたかったという思いもありますが、夏合宿も含めて大学に入ってから初めてのことばかりの年だったので、今年度の経験を来年度にも生かしたいと考えています。
箱根駅伝本戦への意気込みを聞かせてください
自分は緊張しやすく、レースが近づくにつれて不安と葛藤しながら過ごすタイプなので、10日前からは髪も爪も切らない、何も変えないと決めています。気合を入れて何かをするのではなく、ありのままの自分で臨みたいと考えています。中学生のときに東海大学が箱根駅伝で優勝したのを見ました。東海大に入ること自体が憧れで、「箱根駅伝を走る」なんて言うことすらもってのほかだとまでと思っていましたが、憧れの舞台に立つチャンスをつかめたので、絶対に走りたい。攻める気持ちを忘れずに、きつくなったらチームメートやお世話になった方々の顔を思い出しながら粘り切ります。
全日本大学駅伝で感じた悔しさ 箱根路で「練習の成果を発揮したい」
松山優太選手(体育学部競技スポーツ学科1年次生・佐久長聖高校出身)
東海大学に進学した一番の理由を教えてください
双子の弟である唯人(体育学部1年次生)と同じ大学で競技を続けたいと考えていたときに、両角速駅伝監督(スポーツプロモーションセンター教授)から声をかけてもらいました。三重県名張市の出身なので、小さいころから地元の近くで開催される全日本大学駅伝対校選手権大会を沿道で見ていて、東海大学が優勝する姿を見て憧れを抱いていました。
大学では練習量なども増えますが、すぐに対応できましたか?
練習のボリュームも多く、質も高くなっていますが、大学では自分のコンディションに合わせて先生方に相談できるうえに、選手個々に合わせたトレーニングができる環境が整っていると感じています。自分の持ち味は、故障しない体の強さ。強度の高い練習にも挑戦できて、成長を実感しています。
全日本大学駅伝対校選手権大会の感想と箱根駅伝での目標を教えてください
全日本大学駅伝では周りにはトップクラスのランナーがいて、チームや大学を代表して走ることもあって強い緊張があり、プレッシャーも感じていました。思っていた走りができず、「ほろ苦いレースになった」というのが率直な感想です。レース直後は本当にふがいなくて、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。その一方で、全日本大学駅伝までは「出場だけ」が目標になっていたと気づきました。以降は、ただ出るだけではなく結果を残すために必要なものは何かを考えてトレーニングができるようになりました。箱根駅伝に向けて残された時間は多くありませんが、どの区間でもチームに貢献する結果を残すためのプロセスをしっかり考えて練習しています。本番ではどんなランナーが相手でも物怖じすることなく、その成果を発揮したいです。

応援について
●往路(1月2日)
7:30頃【東京地区】第一生命日比谷ファースト前
8:00頃【大森地区】大森橋交差点付近 第一京浜沿道
8:30頃【川崎地区】旧川崎警察署前
9:25頃【戸塚上矢部町地区】横浜新道 戸塚出口付近
10:00頃【藤沢地区】藤沢警察署前
10:30頃【平塚地区】湘南大橋西岸付近
11:30頃【小田原地区】ローソン小田原浜町店前
12:30頃【箱根地区】元箱根交差点付近(Hakone 30 café)
●復路(1月3日)
7:00頃【箱根地区】元箱根交差点付近(Hakone 30 café)
9:30頃【平塚地区】湘南大橋西岸付近
10:00頃【藤沢地区】藤沢警察署前
12:00頃【川崎地区】旧川崎警察署前
12:00頃【日本橋地区】日本橋南郵便局前
12:00頃【日比谷地区】日比谷交番付近
12:00頃【高輪地区】泉岳寺駅付近 第一京浜沿道
12:00頃【東京地区】大手町プレイス横
特別応援ポイント
※時間は例年を目安にしております。天候やレース展開によっては通過時間が前後する場合がございます。
