準優勝を果たした「2019ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」の参戦報告会を開催しました

東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクトのソーラーカーチームが10月31日に代々木キャンパスで、10月13日から20日までオーストラリアで開催され本チームが準優勝の好成績を残した「2019ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」(BWSC)のプレス向け参戦報告会を開催しました。

当日は新聞社や専門誌の記者ら多数が参加。本学から梶井龍太郎副学長をはじめ、佐川耕平総監督(工学部電気電子工学科助教)、木村英樹監督(同教授)、福田紘大監督(工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻准教授)、プロジェクトコーディネーターの村井健太郎職員(チャレンジセンター)、学生メンバーに加え、チームのメーンスポンサーである東レ株式会社から複合材料事業本部トレカ事業部門産業材料事業部産業材料販売第一課長の井上将人氏、大会タイトルスポンサーの株式会社ブリヂストンからブランド戦略コミュニケーション本部主任部員の牛窪寿夫氏が登壇しました。

はじめに梶井副学長があいさつし、「今大会はあと一歩で優勝という素晴らしい成績を残してくれました。チームにはたくさんのアクシデントがありましたが、それらを乗り越えて他チームが脱落する中でも最後まで勝ち残ったのは、彼らの強い気持ちが実を結んだことだと思います。また、ご支援いただいた東レさま、ブリヂストンさまをはじめとした日本の多くの企業から協力を得た結果であり、日本の技術力の結晶ではないかと思っています」と述べました。続いて東レの井上氏とブリヂストンの牛窪氏が、それぞれの支援体制や本チームに提供した技術について紹介。井上氏は、「11年大会から継続して東海大チームをサポートしていますが、BWSCは炭素繊維素材の能力をフルに発揮できる大会だと考えています。今後も19年型Tokai Challengerに用いた炭素繊維トレカの改良と高性能化、新製品開発に取り組み、ソーラーカー開発を通じて社会に貢献していきたい」と語り、牛窪氏は、「2年に1度のBWSCは参戦車両も増え、厳しいレースになっています。今大会でも各国のマシンは非常に速く、前半はハイスピードのレースになり、後半は一転して強い横風の影響でスピンを喫したチームも出るなど、速さと同時に安定して走行する力がないと勝てないレースになりました。そんな中、東海大チームの19年型マシンは細かいところまで行き届いた機体で、速さと安定性の高さを発揮し、準優勝という見事な成績を収めました。供給したソーラーカー専用タイヤ『ECOPIA with ologic』が貢献していれば非常に光栄です。今後も東海大チームをサポートし、応援していきたい」と話しました。

その後、佐川総監督と学生リーダーの武藤創さん(工学部動力機械工学科4年次生)が大会の報告に立ち、BWSCの概要や今大会のライバルチーム、成績などについて紹介。佐川総監督は資料を示しながら、「着目してほしいのは本チームとライバルチームとの太陽電池パネルの違いです。強豪チームの多くは発電効率の高いものの使用者が限られる多接合化合物太陽電池を用いましたが、本チームの19年型Tokai Challengerには家庭用の発電などでも使われる一般的なシリコン系太陽電池を搭載しました。不利な状況の中でも、空力性能と転がり性能を追究するとともに、17年型と比較して大幅な軽量化に成功しました。また、強い横風を受けても走行できる安定性を生かして、多接合化合物太陽電池陣営と互角以上の戦いを繰り広げることができました。今後も学生や企業の皆さまと21年大会に向けて技術開発に取り組みたい」と決意を述べ、武藤さんはレース期間前後のスケジュールを解説しつつ大会を振り返り、「大会を通じて、学生として貴重な経験を積むことができました。17年大会に引き続いてチームリーダーを務めましたが、今大会はチームの雰囲気がとてもよく、それが好成績につながったと感じています」とまとめました。

最後の質疑応答では、「シリコン系太陽電池を搭載しているが、なぜトップチームが積む多接合化合物太陽電池を使わなかったのか?」との質問が寄せられ、佐川総監督が「17年型でもシリコン系を搭載しましたがマシンの力を出し切れませんでした。我々が本来やりたかったことを達成できれば上位に入れるという自信もあり、今回は同じシリコン系を用いることを決めました。また、多接合化合物太陽電池は軍事目的の転用への懸念からどこの国のチームでも買えるものではありません。大会に挑戦する目的の一つである“太陽光エネルギーの普及を高めていく”ためには、誰でも購入できるシリコン系で挑戦することに意義があると考えました」と回答。終了後も佐川総監督や木村監督、武藤さんを記者が取り囲み、熱心に質問を寄せる様子が見られました。

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