大学院生の2グループが「第10回宇宙建築賞」で銀メダルと銅メダルを受賞しました

大学院工学研究科建築土木専攻2年次生の2チーム(指導教員=岩﨑克也教授・建築都市学部学部長)がこのほど、「第10回宇宙建築賞」で銀メダルと銅メダルを受賞しました。同賞は、本学建築都市学部建築学科の十亀昭人教授がキュレーターを務め、宇宙飛行士の山崎直子氏や宇宙ビジネスの専門家らの協力を得て実施されており、宇宙建築の周知とアイデアの振興、発信などを目的に開催されています。今年度は「宇宙ビジネスと建築」がテーマで、3月15日に東京都港区の建築会館で表彰式が行われました。

銀メダルを受賞したのは都丸優也さんと大石真輝さんの作品「MOONBALLOON 風船型探査機ムンバルンを用いた月面縦孔ビジネスの提案」です。2名は月にあるマリウスヒル縦孔の中には小さな洞窟が複数存在しているのではないかと仮定し、「探査」と「滞在」の2つのフェーズで提案しました。今回2名が考案した風船型探査機(愛称:ムンバルン)を小さな洞窟の入り口に差し込み、チューブから送り込んだ空気で探査機本体を膨らませて入り口をふさぎ、その後、密閉した洞窟内に空気を充填させることで、宇宙服が不要な空間を生み出せる可能性を示しました。各洞窟は探査過程を終えると“月のワンルーム”として研究室や企業のオフィス、居住空間として活用される計画です。「ムンバルンは内外2層構造で宇宙服のようなソフトな素材を外層に使用することで、洞窟の凹凸形状に密着固定できるのではないかと考えました」と大石さん。都丸さんは、「宇宙服が不要な空間になれば、五感を使ってより詳細な調査・研究が可能になります。探査機の開発資金は寄付で集め、支援者には見返りとして月のワンルームのオーナー権を譲渡し、宇宙ビジネスに取り組む企業に部屋を貸し出して賃貸料を得るなど、ビジネスサイクルも考案しました」と話しました。最後に2名は、「今回のコンペを通じて、二人で楽しみながら宇宙に関する新しい知識や発見を得られました。議論を重ねた提案に対して評価をいただきとても嬉しいです」と語りました。

一方、大野維親さん、田村哲也さん、中野太耀さんのグループは、「空舞う魚影、光の幻想~クラウドファンディングを活用した宇宙水族館の構想~」のテーマで銅メダルを受賞。マリウスヒル縦孔の入り口に放射性遮蔽ガラスを使用した水槽を設置し、周囲にホテルやレストランを設け、部屋からは魚が宇宙空間を泳いでいるように見える水族館を計画しました。3名は、「月面に住めるようになったら、レジャー施設も必要ではないかと考え、そこで得た資金を研究費に使うサイクルを考えました。普段のコンペと違い、訪れたことのない宇宙をテーマにした作品は難しさもありましたが、意見を出し合い、協力し合えたからこそ形にできました」と笑顔を見せていました。