大学院健康科学研究科看護学専攻修了生の工藤早栄子さんが日本難病医療ネットワーク学会学術集会で優秀演題賞を受賞しました

大学院健康科学研究科看護学専攻修士課程を昨年度に修了した工藤早栄子さんが、11月18、19日に東京都内で開催された日本難病医療ネットワーク学会第10回学術集会で研究成果を発表し、「優秀演題賞」を受賞しました。工藤さんは、本専攻在籍中に石野知子教授(現客員教授)の研究室で修士論文としてまとめた研究成果について、「外来リハビリテーションを受けているパーキンソン病患者の機能維持に関わる因子の検討」と題してプレゼンテーションしました。

理学療法士の工藤さんは、千葉県市川市にある吉野内科・神経内科医院でパーキンソン病のリハビリテーションに携わる中で、リハビリの介入頻度と身体機能の維持との関連に着目。1年以上継続して理学療法を受けているパーキンソン病患者44名のBarthel Index(バーセルインデックス:食事や着替えなどの日常生活の能力を数値化した尺度)と握力、片脚立位時間について、リハビリ開始時と開始から1年後の結果を分析しました。その結果、1カ月に1回のみのリハビリは2回以上に比べて機能を維持できる割合が有意に低くなることを明らかにしました。

工藤さんは、「外来リハビリテーションという限られた治療時間の中で病気の進行を緩徐にさせる方法を見出したいと考えたのが本研究のきっかけでした。優秀演題候補の10演題に選ばれて学術集会で発表できただけでなく優秀演題として表彰していただき、とてもうれしく思います」と話します。「大学院では臨床で接することの少ない診療科の看護師とさまざまな視点からディスカッションし、視野が広がりました。多職種連携の重要性についてあらためて考える機会にもなり、実践に生かせていることも収穫です。フルタイムで勤務しながらの研究は体力的にも精神的にも大変でしたが、その成果が学会で認められたことは大きな励みになりました。指導してくださった石野先生をはじめ、研究を支援してくれた職場の上司や仲間にも感謝しています。この成果については、難病の専門誌から投稿依頼を受けました。今後は調査件数を増やし、より詳細なデータを分析して研究をさらに深め、学会誌で発表したいと考えています。目の前にいる患者さんを第一に考える気持ちを忘れず、臨床と研究にまい進していきます」と意欲を語ります。 指導した石野客員教授は、「リハビリの介入頻度という新しい視点に注目し、月に1回よりも2回以上のほうが身体機能を維持する効果があるという重要な指標を導き出せた意義は大きいと考えます。この結果は、理学療法士の自宅訪問や遠隔によるリハビリテーションといった、個々の患者さんの状態や環境に応じた在宅療法の充実につながる可能性があり、今回の受賞には、工藤さんへの“もっと前に進んでほしい”という期待が込められていると思います。ぜひ研究を進展させ、リハビリテーション界を牽引する存在になってほしいと願っています」と話しています。