資格教育センターでは「彫刻を触る☆体験ツアー2024」を開催しました

資格教育センターでは8月5日に、湘南キャンパスで「彫刻を触る☆体験ツアー2024」(共催:神奈川県秦野市、屋外彫刻調査保存研究会)を開催しました。このイベントは本センターによる実習の一環で、学芸員資格の取得を目指す学生や地域住民らが、学内にあるブロンズの屋外彫刻に直に触れ、メンテナンスを体験するものです。日ごろと異なる芸術鑑賞法や保存の意義を知ってもらおうと2014年度から実施しており、今年で10年目を迎えました。

当日は、「神奈川県高校生インターンシップ」に登録する県内の高校生や日本大学芸術学部の学生らも含め約20名が参加。まず、松前記念館で日大芸術学部教授の田中修二氏から国内外の彫刻の歴史や意義について説明を受け、青空のもとキャンパス内に設置されている北村西望作「松前重義胸像」と舟越保武作「山田守像」の2体のメンテナンスに取り組みました。学生たちは、屋外彫刻調査保存研究会の高嶋直人氏と黒川弘毅氏からアドバイスを受けながら、ブロンズ像の汚れや傷など状態を確認し、専用の洗剤を使って汚れを落としました。合間には、黒川氏による「彫刻メンテナンスの楽しみ方」と題したセミナーや、国立民族学博物館の広瀬浩二郎氏による「触る美術鑑賞」に関する講演なども実施し、参加者はメモを取ったり、質問を投げかけたりしながら熱心に聞き入っていました。

参加した学生は、「彫刻のメンテナンスは初めての体験でしたが、専門家の先生方に分かりやすく解説していただきとても勉強になりました」「見るだけでは分からない彫刻の魅力に触れられました」と充実した表情を見せ、高校生は、「絵を書くことが好きで美術に興味を持ち、彫刻についても学びたいと思い参加しました。貴重なブロンズ像に直接触るので少し緊張しましたが、細部のつくりにまで注目しながら作業できました」と話していました。秦野市文化スポ―ツ部文化振興課長の小泉氏は、「冬には市内にある彫刻のメンテナンスにも取り組んでいただいていますが、芸術作品の保存には若い世代の力が必要。東海大生の皆さんが楽しそうに作業する姿はとても頼もしく見えました」と話していました。

本センターの篠原聰准教授は、「イベント開始から10年の間、多くの学生や生徒、地域住民らが参加し、多くの専門家の方々にも尽力していただいてきました。今では作品のメンテナンスはもちろん、世代や職種をこえた人間同士の交流の場にもなっています。また、秦野市に留まらず藤沢市や平塚市、小田原市、東京都北区とも連携した多彩なイベントの開催にもつながりました。今後もさまざまな催しを通して、学芸員にとっての永遠のテーマである作品の保存と活用を考える、人と人との交流の場を創出していきます」と話しています。