国際文化学部デザイン文化学科の笹川寛司教授が、8月29日から9月8日まで、札幌市・トラムニストギャラリーで、ペット用骨壺入れを紹介する個展「イヌ・ネコ供養のデザイン」を開催しました。笹川教授が2022年に愛猫との別れをきっかけに制作したネコ用骨壷入れをベースに、札幌軟石や木材を用いて新たにデザインした新作を紹介したものです。
笹川教授は、「ペットロスによる気分の落ち込みは想像以上でしたが、ネコをイメージできる骨壷入れを部屋に置いたことで感情をある程度穏やかに保てました。作品制作は、私のほかにもこういったものを必要としている人がいるのではないかと考えたことがきっかけです。また、ペット産業は近年ますます盛んになっていますが、ある意味でタブー視されている“死”や“ペットロス”といった面を見据えた商品は意外に少なく、飼い主の心のケアに対してデザインの力で何かできるのではないかと考えました」と話します。上下に分かれるパーツの中に市販のカプセルを骨壺として収納するこの作品は、札幌軟石のほかに木目によって生前のペットに近いものを選べるようセンやシナ、雑カバと北海道内で産出される木材を使い、上下の部品にはペットの耳の形状に合わせて丸と三角の二つの切れ込みを用意し、耳の向きもペットと同じ向きになるよう選択できます。また、台座部分で設置時の角度を調整でき、生前の表情に近づけ、首をかしげる動作も再現できるようにするなど工夫を凝らしました。なお、8月5日に実施された本学の「発明評価会」で意匠出願が認められ、弁理士で本学URAの山田繁和教授(総合科学技術研究所)らのサポートを受けてすでに特許庁への意匠登録出願手続きを完了しています。
会期中は札幌キャンパスの学生や卒業生らのほか、地元企業関係者ら多様な分野から来場者があり、笹川教授は「ペット産業関係者や動物好きの方、建築関係などこれまで手掛けてきたプロダクトデザインに関する展示会とは違った層のお客さまに来場いただき、関心の高さを実感しました。商品化に向けては、ペットを失った人の心にどこまで寄り添えるものにできるか、採算性などさまざまな課題がありますが、大切なペットを自宅で供養したいと考える人に届けられるよう取り組んでいきたい」と話しています。