マイクロ・ナノ研究開発センター(MNTC)では9月12日に湘南キャンパスで、「第76回MNTC講演会」を開催しました。分野横断的かつ独創的な研究を推進するため、さまざまな分野の研究者らを招いて定期的に実施しているものです。今回は、「細胞操作から融合が可能になる高分子バイオマテリアルの研究開発」をテーマに、産業技術総合研究所細胞分子工学研究部門の寺村裕治氏が講演。理学部・工学部の研究者、大学院生らが聴講しました。
寺村氏は、抗体医薬や新種植物の創出などに活用される「細胞融合」について解説。「細胞融合は体内で常に起きている反応ですが、人工的に再現することが非常に難しく、その融合技術が求められています」と語り、人工的に細胞融合を引き起こすためのさまざまな実験方法を紹介。「細胞同士を物理的に近づけるだけでは融合しません。ポリエチレングリコール脂質誘導体を使うことで細胞膜の脂質分子が反応し、細胞同士を接着させることができます。誘導体の機能を高めることで効果促進が期待できるので、今後は新材料の開発に取り組んでいきたい」と語りました。講演終了後には多くの質問が寄せられました。
司会を務めたMNTCの岡村陽介教授(工学部応用化学科兼務)は、「学生にとって、自分が取り組んでいる研究と違う分野の講演を聞くことで、知見が広がる機会になったのではないでしょうか」と話していました。