
文理融合学部地域社会学科の前田芳男教授(学部長)と人間情報工学科の村上祐治教授、それぞれのゼミ生らからなるグループ「ねこだんご」が、1月12日に熊本県上天草市・湯島で「東海大生による湯島での地域猫活動の支援 報告会」を開催しました。湯島は「猫の島」として注目を集める一方、観光客の増加で猫の健康状態悪化が不安視されることから、学生たちは2022年度から猫のQOL向上を目指した活動を開始。公益財団法人日本離島センターが実施する「離島人材育成基金助成事業」(活動助成型)の採択が最終年度を迎えたことを受けて湯島をメイン会場に報告会を開き、全国から猫の保護活動に取り組む関係者らもオンラインで参加しました。
はじめに前田教授が、学生たちが猫の健康診断や観光客への聞き取り調査などを実施してきた様子を説明し、「湯島では一匹ずつに名前が付けられ、不妊去勢手術や病気の治療なども行われており、QOLは非常に高く、全国にモデルとして広められるのではないかと感じました」と解説。今年度はオンラインで「全国猫の島サミット」や毎月1回の情報交換会なども行い、ネットワーク構築を図ってきた成果も披露しました。一方で、保護活動団体の経済的負担といった課題を挙げ、「旅行会社や企業と協力して地域猫活動の体験ツアーを企画し、売り上げの一部をワクチン代に充てるなど、新たな活動も計画していきたい」と話しました。続いて村上教授が研究室の学生と制作・更新している湯島の猫を紹介するサイトについて報告。「現在は81匹の猫を紹介しており、撮影した写真を貼り付けてオリジナルのマップを制作できるアプリも開発しました。今年度は20匹の猫を対象に、1匹当たり1000枚から3000枚の写真を取り込んで人工知能に学習させて顔認証するシステムの開発に取り組んできましたが、正答率はまだ半分ぐらい」と話し、実用化に向けた課題などを語りました。

その後は、熊本県・通詞島や福岡県・相島、山口県・祝島で猫の保護活動などに取り組む関係者や離島センターの職員らも交えて意見交換。学生たちの活動については、「島に渡る船の利用状況から観光客の推移を分析したデータや猫が島にもたらした効果は地元の行政でも把握しておらず、今後の協力を働きかける貴重な資料になるのではないでしょうか」「猫島の関係者同士がつながることで、個々の取り組みや住民の理解も進むと感じました。島内の住民だけでは難しかったつながりをつくる取り組みは未来に向けて明るい話題」といった声が聞かれました。最後に前田教授は「3年間の活動で培ったネットワークを継続していくことに意義があると感じています。今後もご支援・ご協力をお願いします」と呼びかけました。