静岡キャンパスが北海道根室市との協定締結10周年を記念してさまざまな事業を実施しました

6月4日から6日まで、北海道根室市と海洋学部の相互協力協定締結10周年を記念した事業を同市内で実施しました。根室市と海洋学部は2010年に相互協力協定を結び、水産加工品の開発や地域水産資源に関する研究、市内の高校生を対象とした講演会や海洋学部生の職業体験実習などを展開。また、同市の特産品であるサンマを湘南校舎と清水校舎の建学祭でふるまった「根室産さんま祭り」を開催するなど積極的に交流を深めてきました。

このたび、相互協力協定の期間が本年3月末で満了したことと、今年度より静岡キャンパスに新しく人文学部が設置されたことなどを受け、新たな枠組みでより幅広い分野での連携・協力を図るため静岡キャンパスとの協定に拡充するための調印式を執り行いました。今回の記念事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2年間の延期を経て実施したものです。期間中には花咲港(根室市)に入港した本学の海洋調査研修船「望星丸」の入港歓迎セレモニーをはじめ、望星丸の一般公開、市内の子どもたちを対象とした講演会を開催。また、望星丸での海洋実習に参加した海洋学部海洋文明学科の学生を対象とする根室市内見学実習も4日から6日までの3日間にわたって行いました。

4日の入港歓迎セレモニーでは、海洋実習中の海洋文明学科の学生、教員らが望星丸のデッキで登舷礼を行いながら入港する中、岸壁では根室市の石垣雅敏市長をはじめとする市職員や漁協関係者らが出迎え、ねむろ太鼓保存会の演奏も披露されました。式では石垣市長からの歓迎の言葉を受け、川﨑一平教授(人文学部長)が、「望星丸のデッキに太鼓の音が聞こえてきたときには本当に感激しました。総勢131名が乗船した望星丸は約10年ぶりの根室入港です。学生たちは6日まで、根室の豊かな自然、文化などを学んでまいります」と応えました。

続いて会場を市内の北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)に移して行った協定調印式には、石垣市長をはじめとした市関係者と山田吉彦静岡キャンパス長、川﨑学部長ら本学関係者が多数出席。根室市議会の田塚不二男議長や地元商工会議所、漁協関係者の立会いのもと、石垣市長と山田キャンパス長が協定書を手交しました。山田キャンパス長は関係者への謝辞とともに、「これまで12年間を通じて根室市とさまざまな連携事業に臨んでまいりました。これから新たに静岡キャンパスとして明らかな成果を残せるよう皆さまと積極的に協力を強めていきたい」と語りました。また、続けて山田キャンパス長による記念講演も実施。「ウクライナ情勢と北方領土問題」をテーマに、ロシアによるウクライナ侵攻によって緊迫する国際情勢と根室市が直面する北方領土問題の関係性について解説しました。

翌5日には望星丸の一般公開を実施。公開前には船内の学生食堂で山田キャンパス長が「日本の海と島」と題して根室市の子ども向けに海洋の魅力や不思議を紹介する講演会を実施しました。山田キャンパス長は約60名の参加者に向けて、海洋学部における研究活動や望星丸による調査の一端を子どもたちにも分かりやすく紹介するとともに、会場から寄せられた海底資源に関する質問にも丁寧に回答しました。

引き続き実施した一般公開には、市民ら約450名が望星丸に乗船。普段は見ることのできない操舵室や学生食堂、ドライラボなどを巡る見学ルートを設定し、根室市と本学の交流について紹介するパネル展示やスタンプラリーなど、さまざまなプログラムを実施しました。後部甲板で行ったロープワーク体験では、船上で使われるさまざまなロープの結び方を望星丸の乗組員が解説。参加した子どもたちは、マジックのように結んだり解いたりする乗組員の手元を見つめ、驚いた表情を見せていました。

来場者からは、「講演会はテレビで見ることが多い山田先生のお話を直接聞ける貴重な機会と思い参加しました。深海魚の新種発見に関するお話など、子どもも興味を持って聞いていました」「市と大学が協力して根室の地域活性化に向けて活動していると知り、頼もしく感じました。また、大学が所有する船を見学できることは珍しく、興味深い体験でした」といった声が聞かれました。