
農学部農学科の鯉沼宏章講師が参画する研究チームが5月17日に、オセアニア・ソロモン諸島を訪れ、共同研究「食料の安定的増産を実現する包括的サツマイモ種苗管理システムの実装」が本格的にスタートしました。本研究は東京大学大学院農学生命科学研究科の前島健作准教授が代表を務め、本学と農研機構が参画しています。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が連携して、地球規模の課題解決に向けた日本と発展途上国との国際共同研究を推進する「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」に採択されて、約1年かけて現地との関係構築や事前準備を進めてきました。
大小1000以上の島が連なるソロモン諸島は一人当たりのサツマイモ消費量が世界一と言われる一方、病害虫による収量低下が大きな課題となっています。研究チームでは2026年度から30年度まで、ソロモン諸島固有のサツマイモを対象として「遺伝資源の評価・保存」、「病害虫の検査・防除技術の開発」、「持続的安定生産のための総合防除体系の開発」、「優良苗の生産・検査・配付システムの開発」に取り組んでいきます。植物病理学が専門の鯉沼講師は、「熱帯地域のソロモン諸島では日本と異なり通年でサツマイモを栽培できるため、収穫後に残った茎葉を苗として使い回すことによって病害虫が維持されてしまっています。また、生育不良や奇形のイモも見受けられ、栽培を繰り返すうちにウイルスに感染している可能性があります。植物に寄生して病害を起こすファイトプラズマの影響や、アリモドキゾウムシの幼虫にイモの内部を食い荒らされて廃棄せざるを得ない例もあり、病気や害虫の検査技術や防除技術を開発していかなければなりません」と語りました。



元兵庫県立農林水産技術総合センター淡路農業技術センター所長で、今年度から本学に着任した神頭武嗣特定研究員が7月から約3カ月間、現地で病気や害虫の発生状況調査や人材育成に取り組みます。その後も定期的に現地に滞在して鯉沼講師ら日本にいるメンバーと連携しながら研究を進める計画となっており、鯉沼講師も8月末から再び現地に赴く予定です。「海外で行う研究のため、国内外の関係機関とのさまざまな調整が必要で、時間をかけて取り組んでいくプロジェクトになると感じています。ソロモン諸島では近年、米の輸入が増加し、肥満人口の増加も問題になっています。サツマイモの安定供給を図るとともに、栄養バランスに優れたサツマイモの価値を再認識してもらい、ソロモン諸島の人々の健康に寄与する活動にしていきたいです」と話しています。



