理学部が運用する18号館の「サイエンス・フォーラム」で、最新の情報通信技術(ICT)を使った授業が始まっています。この教室は、理工系教育への ICTの活用法を研究するとともに、学生参加型の授業「アクティブ・ラーニング」を実践する教室として今年4月の18号館完成にあわせて設けられたもので す。3面の大型スクリーンや電子黒板、iPadといったICT機器が常備されているほか、グループディスカッションなどの際に移動しやすいよう可動式の机 とイスが配置されています。
4月からはこの教室を利用して、理学部基礎教育研究室で担当している基礎力、総合的な判断力を養う理学部生対象の「e-科学」や、科学的思考力を養う全学 部生対象の「自然科学入門」と「同演習」を開講しています。このうち5月12日に行われた「e-科学C(化学)」の授業では、担当する及川義道准教授が作 成した教材をスクリーンに投影しながら化学平衡について講義した後、学生たちが少しずつ難易度の上がる3つの課題に取り組むグループワークに挑戦。常設の ホワイトボードを使いながら話し合い、課題を解いた後には指名されたグループが答えとその理由を発表し、及川准教授が解説していきました。
学生たちからは「将来取り組む研究や社会人になってから必要になるICT機器の使い方を学べるのがいい」「一方的に講義を聞くのではなく、授業中に課題を 皆で解くことで習ったばかりの知識への理解の深まりを実感しています。もっといろいろな分野を学びたいという意欲も高まりました」といった感想が聞かれて います。
石原良美学部長は、「科学技術の進歩が早くグローバル化が進む現代において、理工系を支える人材には常に自ら学び続ける力や、さまざまな国籍の同僚と協力 しながら課題を解決する力が欠かせません。アクティブ・ラーニングはそうした力を培う手法で、授業に取り入れるさまざまな試みが行われています。この教室 を使ったさまざまな授業での実践を通して効果的な手法を研究し、その成果を学部全体で共有することで、教育力向上につなげていきたい」と語っています。