公開講座ヒューマンカフェで織田名誉教授が講演しました

札幌キャンパスでは、5月23日に紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデンで、東海大学公開講座ヒューマンカフェ(道民カレッジ連携講座)「椅子と生活文化」を開催しました。今回は、世界的な椅子の研究家として知られる織田憲嗣本学名誉教授を講師に、家具デザインの視点と発想から、椅子をはじめとする美しい生活用品について解説。市民の皆さまをはじめ、学生や教職員ら40名が聴講しました。

織田名誉教授が所蔵する椅子の数は1350脚にも上り、そのコレクションや図面、書籍、スケールモデルなどの資料は「織田コレクション」として知られています。また、個人で収集したコレクションであるにもかかわらず、その規模や水準はニューヨーク近代美術館やヴィトラ・デザイン・ミュージアム(ドイツ)に匹敵するとされています。現在、同コレクションの一部が旭川市のチェアーズギャラリーで常設展示されており、毎年多くのデザイナーや研究家、学生などが見学に訪れています。また今年度、デンマークのトナー市とトナー美術館が創設した、北欧デザインの発展に貢献したデザイナーや、ウェグナーのデザインの重要性を世界に伝え彼の評価を高めた人物に贈られる「ウェグナー賞」も受賞しています。

織田名誉教授は講演でまず、テーマである椅子とは切り離せない「デザインとアートの違い」について解説。「デザインとアートは重複する部分もある言葉ですが、アートは基本的には作家が納得すれば成立するものです。また、作品を見てどのように判断するのか人によって違います。さらにアートではその作家性、個性が非常に重んじられます。一方デザインは、日常生活に密接にかかわっていることから、デザイナーはクライアントの意向や消費者のニーズをきちんと理解し、自分勝手な解釈や表現は許されません」と話しました。また、日本人の生活に椅子が取り入れられていく過程やそれに伴う日本の家具業界の進化、家具デザイナーの役割について紹介しました。

さらに、家庭で使う椅子を選ぶ際に気をつけなくてはならないポイントについて、「座り心地や強度、機能性が非常に重要な要素ですが、美しく、置いておきたくなるものでなくてはなりません。デザインが悪いものはすぐ飽きがきてしまう。何年たっても変わらない普遍的な美しさが大切です」と強調。その上で、デンマークのデザイナーであるハンス・ウェグナーが発表した「ザ・チェア」と「Yチェア」について、完成するまでの経緯や優れた点を紹介し、名作椅子とよばれる作品の成り立ちについて解説しました。最後に、「時代の移り変わりとともに、ライフスタイルは変化してきます。それに合わせるにはどうすればいいのか、デザイナーは広い視野を持って取り組む必要があります」と提唱しました。

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