現代教養センター所長の佐藤恵子教授が毎日出版文化賞を受賞しました

現代教養センター所長の佐藤恵子教授の著作『ヘッケルと進化の夢―― 一元論、エコロジー、系統樹』(工作舎・2015年9月20日刊)が、11月3日に受賞作が発表された毎日新聞社の第70回毎日出版文化賞(自然科学部門)に選出されました。この賞は優れた出版物の著編者、出版社などを顕彰する賞で、終戦後の1947年に創設されました。

今回の毎日出版文化賞は、今年8月までの約1年間に初版が刊行された出版物で、出版社による自薦と毎日新聞社が委託した方からの推薦で計339点が選考対象となりました。審査の結果、文学・芸術、人文・社会、自然科学、企画(全集、講座、辞典など)、特別賞の各部門で1冊ずつ選考されています。なお、贈呈式は11月25日(金)に東京・椿山荘で開かれます。

科学思想史が専門の佐藤教授は本書で、19世紀末から20世紀初頭のドイツにおける文化や社会に大きな影響を与え、「エコロジー」という言葉の創始者として知られている生物学者、エルンスト・ヘッケルについての研究成果をまとめました。選考委員からは、原テクストを丹念にたどり、巨大な知性の実像を鮮明に描き出した点や、一般向けの読み物としての魅力にとどまらず、国際的な研究成果としても高く評価できるとの評が寄せられています。

受賞を受けて佐藤教授は、「昨年9月の出版以来、多くの方に書評を書いていただき、反響があったことは知っていましたが、このように栄誉ある賞をいただけるのは予想外でとまどいました。本書は学術的な研究に基づいており、内容的には難しいことに触れざるを得ませんでした。しかし、多くの方々に読んでいただくことを第一の目的として、文章やレイアウトなどを苦心し、できるかぎり平易な表現、丁寧な説明を心がけました。そういった意味で本書を評価していただけて、心よりうれしく思います」と語っています。

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