「TOKAIグローカルフェスタ2016」で、彫刻をテーマにワークショップとシンポジウムを実施しました

課程資格教育センターでは12月3日に湘南キャンパスで、彫刻をテーマとしたワークショップとシンポジウム「TOKAI×MUSEUM GO!!」を開催しました。本学の地域連携活動「To-Collaboプログラム」の大学推進プロジェクト「ライフステージ・プロデュース計画 大学開放事業」の一環で実施した「TOKAI グローカルフェスタ 2016」のイベントとして開いたものです。当日は、学芸員の資格取得を目指す学生たちが運営をサポート。会場には多くの近隣住民らが訪れました。

彫刻家の伊藤一洋氏を講師に招いて松前記念館で実施したワークショップ「家族で楽しむアート 真冬の昆虫採集」には、約90名の子どもたちが参加。懐中電灯を使って館内に隠されたカブトムシや蝶などのブロンズ製の昆虫を探し出し、サンドペーパーで磨いたり薬品をつけて黒や緑に変色させたりして、オリジナルのブロンズ昆虫を制作しました。子どもたちは完成した作品を見せ合いながら、「磨いたり薬をつけたりして色が変化するのがおもしろかった」「記念に勉強机に飾ります」などと笑顔を見せていました。

11号館では「彫刻とエロス 目と手で育むユニバーサル・ミュージアムの未来」をテーマに公開シンポジウムを行い、学生や大学院生ら約120名が聴講しました。これは、身体の障害の有無や年齢などにかかわらず誰もが楽しめる「ユニバーサル・ミュージアム」の実現を目指して本センターが毎年実施しているもので、今回が3回目となります。はじめに、国立民族学博物館准教授の広瀬浩二郎氏が、「『触識』のすすめ―無視覚は無資格だけど無死角なり!―」をテーマに基調講演。広瀬氏が企画に携わった、来場者に作品を全く見せずに触って鑑賞してもらう展覧会の概要について紹介し、バリアフリーとユニバーサルの違いや、触識の意義、可能性などについて説明しました。

続いて、共立女子大学教授の山本聡美氏、信州大学准教授の金井直氏、大分大学教授の田中修二氏がそれぞれの専門分野の視点から彫刻作品と触覚との関係などを解説。また、武蔵野美術大学教授の黒川弘毅氏は作家の立場から、「彫刻は内触覚の芸術である」と彫刻の本質について語りました。最後に本センターの篠原聰准教授をコーディネーターに5名の講師がパネリストとして登壇。触って彫刻を鑑賞する魅力について、作品に触れる際のマナーや作品の保存などと関連づけながら意見を交わし、終了後には参加者から多くの質問や感想が寄せられました。

聴講した学生は、「”さわるコミュニケーションは触れ合いの原点”という広瀬さんの言葉が印象に残りました。彫刻に触れて、心と体で感じる体験をしてみたい」「『さわる』という観賞法を広め、ユニバーサル・ミュージアムを実現させるために、学芸員としてなにができるかを考えていきたい」などと感想を話していました。

なお、各講演のテーマは下記のとおりです。
◆基調講演
 広瀬浩二郎氏(国立民族学博物館准教授)
 「『触識』のすすめ―無視覚は無資格だけど無死角なり!―」
◆講演1
 山本聡美氏(共立女子大学文芸学部教授)
 「視覚と触覚の互換性―九相図からよびさまされる肉体の手触り」
◆講演2
 金井 直氏(信州大学人文学部准教授)
 「接触寸前~西洋彫刻史にふれつつ」
◆講演3
 田中修二氏(大分大学教育学部教授)
 「彫刻にさわったとき……」
◆講演5
 黒川弘毅氏(武蔵野美術大学造形学部彫刻学科教授)
◆ディスカッション
 コーディネーター 篠原 聰准教授(東海大学課程資格教育センター)
 パネリスト 上記講師5名

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