医学部付属病院が「認知症と社会の在り方」をテーマに研修会を開催しました

医学部付属病院では2月28日に伊勢原キャンパスで、「2016年度認知症研修会」を開催しました。認知症への理解を深めてもらおうと、本病院の認知症疾患医療センターが中心となって実施しているものです。今回は、「認知症と社会の在り方~認知症と街づくり~」をテーマに、認知症の人々と地域社会とをつなぐ活動などに取り組んでいる企業や団体の代表者ら4名が講演。学生や教職員をはじめ近隣の住民や医療従事者ら多数が参加しました。

前半では、一般社団法人認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)共同代表理事で富士通研究所R&D戦略本部協創戦略PJプロジェクト・ディレクターの岡田誠氏が、「認知症に優しいまちづくり~セクターを越えたつながり~」と題して基調講演。認知症の人々とその生活を支える人々がともに安心して暮らせる社会を目指して行われているリレーイベント「RUN伴」や、写真を媒介として認知症の高齢者を含む多世代の交流の場をつくる「富士宮プロジェクト」といった活動について紹介し、「企業や自治体、NPOなどが持つさまざまな問いを共有することで隠れたリソースを発見し、新たなプロジェクトを立ち上げることができる」と、各セクターの連携の重要性を訴えました。

後半は、NPO「町田市つながりの開」理事長で若年認知症サポートセンター理事の前田隆行氏が「認知症でも働けるまちづくり」と題して、認知症の人の就労支援を行う次世代型デイサービス「DAYS!BLG」の利用者の就労状況や企業の協力体制について紹介。ビーンズ地域総合ケアセンターの作業療法士でDFJI交通プロジェクトにも取り組んでいる前田亮一氏は、「認知症の人にやさしい交通のあり方~イセハラ・ストーリーを考える~」をテーマに、認知症の人が外出しやすくなる交通システムを構築するための調査・研究や今後の展望について説明しました。また、「地域で認知症をサポートする~NININ PROJECTの試み~」と題して講演した株式会社MTヘルスケアデザイン研究所代表取締役所長の阿久津靖子氏は、ロボティクス技術による認知症のケアサポートを目指す試みについて紹介。ロボットPepperによる、認知症の人に対する「目覚まし」や「服薬」などのサポートのデモンストレーションも行いました。

参加者は、「認知症の人に対しては、日常生活のさまざまことができなくなっていくことを悲観するのではなく、今できることを肯定していく姿勢が大切だと感じました」「まちづくりの観点から、認知症の人々をサポートするさまざまな取り組みについて学ぶことができてよかった」などと感想を話していました。

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