マトリックス医学生物学センターが「2019年度公開研究報告会」を開催しました

大学院医学研究科マトリックス医学生物学センターでは、5月14日に伊勢原キャンパスで「『臓器線維症の病態解明と新たな診断・予防・治療法開発のための拠点形成』2019年度公開研究報告会」を開催しました。本センターは、がんや肝硬変など多くの内臓疾患の発病や進行にかかわる細胞外マトリックス(細胞間物質)を対象とした世界初の研究拠点として2014年に設立。文部科学省の「平成27年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」の採択(5年間)を受け、細胞外マトリックスの変容機序や臓器線維症の診断・治療に関する多角的、系統的な研究に取り組んでいます。本報告会は、1年間の成果を学内で共有するために実施したものです。5名の研究者が最新の成果を発表し、医学科の教員や大学院生、生命科学統合支援センターの技術職員ら多数が参加しました。

はじめに、副学長の坂部貢医学部長が登壇。「マトリックス医学生物学性センターが取り組んでいる研究は、医学や医療の発展はもちろん、東海大学の研究力の底上げにもつながる重要なプロジェクトです。活発な意見交換を通じて研究が活性化されることを願っています」とあいさつしました。

続いて、本センター長で研究代表者の稲垣豊教授が、「2018年度の活動を振り返って」と題して1年間の成果を総括。昨年度に実施した中間成果報告会で、「基礎研究の臨床応用」「若手研究者の育成」に対する期待が外部評価者から語られたことを報告し、新規診断・治療法の特許出願状況や、特定研究員、奨励研究員らの若手研究者が発表した論文と国内外の学会での受賞歴、外部研究資金の獲得状況などについて紹介しました。また、当初の計画と現在の進捗状況についても説明し、「今年度が5年計画の最終年になりますが、これまでの成果を臨床につなげる努力を継続するとともに、付随して生じた新たなシーズについても研究を進めたい」と抱負を述べました。

研究報告では、各プレゼンテーションに対して参加者から多くの質問や意見が出され、活発な議論を展開。最後に大学院医学研究科の小林広幸研究科長が、「多くの成果が報告され、うれしく思います。最終成果報告会に向けて、さらなる研究の進展を期待しています」と語りました。

なお、当日の発表者とテーマは以下のとおりです。(発表順)
◇大塚正人教授(医学部医学科基礎医学系分子生命科学)
 「体外の胚操作が不要なゲノム編集動物作製法i-GONADの最適化」
◇石井恭正准教授(医学部医学科基礎医学系分子生命科学)
 「酸化ストレス誘導短寿命モデルマウスにみる自然免疫応答の慢性化機序」
◇加藤俊治研究員(医学部医学科基礎医学系生体防御学/東北大学 助教)
 「質量分析を用いた酸化脂質の構造解析:酸化脂質の構造は何を反映するか」
◇伊藤洋子講師(医学部医学科内科学系呼吸器内科学)
 「肺線維症における肺胞上皮細胞機能障害―小胞体ストレスを中心に―」
◇秦野伸二教授(医学部医学科基礎医学系分子生命科学)
 「オートファジー・リソソーム系に焦点を当てた神経変性疾患新規薬剤スクリーニング系の確立」

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